267 射的の結果
射的をして、兄さんたちは三つずつ、信くんはぬいぐるみのみという結果になった。
蕾ちゃんは‥‥うん。 沢山です。
屋台の人がめちゃくちゃ困った顔をしていたのが、凄い思い出される‥‥。
由南ちゃんと祈実さん、そして私もやってみたが、一つも取れなかったことを考えると、初めにやった皆がどれだけ凄いかわかる。
‥‥‥‥というか、蕾ちゃんが凄すぎる!
「ふぅ、楽しかったっすね!」
「そうだね。 私は取れなかったけど。 蕾ちゃん一杯だったもんね‥‥あれ? 蕾ちゃん、取った景品は?」
蕾ちゃんの手元を見ても、それらしいものを持っている気配がない。
「あ~、一杯取りすぎたので、返したっすよ。 自分は射的がしたかっただけっすから」
「そ、そうなんだ! まぁ、確かに多かったもんね」
「そうね。 あれだけの量を回るときに持っているのは面倒だもの。 その方が良かったかもしれないわね」
食べ歩いたりするのに、両手が塞がっていたらなにもできなくなるもんね。
まぁ、あんなに取る人は他にいないと思うし、蕾ちゃんくらいしかしない悩みだよね。
「次はどうしようか?」
「あー、私、アメリカンドッグが食べたいっす!」
「あ、私も食べたい! コンビニで、いつでも食べられるけど、お祭りだと何故か食べたくなっちゃうよね。 兄さんたちはどうする?」
兄さん達も食べるなら、私が買ってきてもいいけど‥‥。
「俺たちは、射的で勝負してたんだが、決着がつかなかったから違うことで決着をつけてくる」
「陸ー! こっちにヨーヨー釣りがあるぞ! どちらが多くとれるか勝負だ!」
「奈留。 ということだ。 俺は今から広葉を叩きのめさないといけない。 今から行ってくる」
「えっと‥‥頑張って?」
「おう!」
そう言って、兄さんと広葉は、人混みの中に消えていった。
兄さん、初めはお祭りはどちらでもいいみたいな感じだったのに、凄くはしゃいでるね!
まぁ、しらけているよりいいだろうけどね。
でも、あんな風になると中々戻ってこないし、妹として心配だよ、全く‥‥。
「行っちゃった‥‥」
「何、寂しいの奈留? 奈留は兄さん大好きだもんね」
「由南ちゃん、違うって! ただ来てからまだそんな経っていないのに、すぐに別れることになるとは思わなかったから、驚いてるんだよ」
皆で楽しもうって言ってるのに‥‥兄さんはダメだなぁ。
「でも、まぁ女の子だけで回るのもいいよね♪」
「いや、きさねぇ、僕、男だから‥‥」
でも、元女の子だったわけだから、あながち間違えでも‥‥あれ? そういう風にしちゃうと、今度は私が違うってことになるのか‥‥いやもう考えないでおこう。
「蕾ちゃんはこっちでいいの?」
「当たり前っすよ! 奈留ちゃんと由南ちゃんが誘ってくれたんっすからこっちにいるのが当然っす!」
あぁ、なんていい友達なんだろう、蕾ちゃんは!
でも、残念に思っているかもしれないし、出来る限り合流できるようにしないとね。
「じゃあ、さっき言ってたアメリカンドッグ買いましょうか?」
「そうだね」
私達はアメリカンドッグの屋台の列の最後尾に並んだ。