260 愛らしい
広葉と蕾ちゃんを家に呼び、数分経った後、早速一人目が家に来た。
まだ、来ないと思っていたので少し驚いたが、まぁ、この人はいつでも呼ばれたら来るって感じだもんね。
「陸、奈留ちゃん、来たよー!」
今日はテンション高いなぁ、広葉。
きっと、お祭りが楽しみなんだね!
「お前、来るの早すぎ‥‥。 ちょっと引くわ」
「陸、それは呼び出しておいて酷くない!?」
ま、毎回のことながら、兄さんの広葉への態度は相変わらずですね。
まぁ、確かに歩いて家に来たにしては早いなぁ、と私も思っていましたが。
「まぁまぁ、兄さんもあまり森田さんをからかっちゃダメですよ」
「あぁ、そうだな」
「奈留ちゃん、優しい‥‥。 まぁ、陸はこれくらいじゃないとって感じだけどな」
言われ慣れてますもんね。
そうじゃないと、兄さんの親友で居続けるのは無理そうですし。
「蕾ももうすぐ来るって」
「あ、蕾ちゃんも早いね」
準備はもうしていたのだろうか。
そんなことを考えていると玄関のチャイムが鳴る。
本当にすぐだったね!?
「来たっすよ~! ‥‥くっ、またしても仲間外れにされるとは」
「それについては悪かったわ。 でも、決めたのが直前だったから誘いにくかったのよ」
まぁ、それについては本当のことだもんね‥‥。
「でもでも! 少しくらい声をかけてくれても良かったのに、由南ちゃんはいつも私に黙って────って、ひーくんいるじゃないですか!?」
先程のふてくされた顔から一転して、驚いた表情になる、蕾ちゃん。
あれ? 蕾ちゃんには広葉が来ることって言ってなかったっけ?
たぶん、さっきまで由南ちゃんに隠れて見えてなかったんだろうが、リビングの扉は開いているので、そこから広葉が見えたのだろう。
こんなになるってことは会うの久々ってことなのだろうか。
「お祭りだから、人数多い方がいいと思ったんだ。 蕾ちゃんもその方がいいでしょ?」
「も、もちろんです! ひーくんと会えるとは思ってなかったので驚きです‥‥」
あ、蕾ちゃんの地が出てる‥‥。
こういう、蕾ちゃんはいつもの元気な蕾ちゃんと違っていて、何て言うか‥‥愛らしいよね。
まぁ、いつもの蕾ちゃんも好きだけどね。
「あ、蕾ちゃん、久しぶりだね」
「ひ、ひーくん‥‥。 お、お久しぶりです!」
蕾ちゃん、凄い緊張しているのが伝わってくるよ‥‥。
心の準備をしていない状態だったろうから仕方ないよ、うん。
本当に、その気持ち、凄くよくわかるよ。
「そういえば、由南ちゃん。 蕾ちゃんに森田さんのこと伝えてなかったの?」
「あ~‥‥うん。 まぁ、いいじゃない」
「普通に忘れてたんだね」
まぁ、でも、サプライズ的な感じになって、結果言うより良かったかもしれないね。