256 いきなり訪問者
「早い!」
お祭りがある休日まではまだ数日あると思っていたのだが、いつの間にか学校終わってしまっていて、週末になろうとしていた。
というか、もう祭りは明日だった‥‥。
いや‥‥これは嘘だと言ってほしいね‥‥。
学校がこんなにすぐに終わるとか‥‥楽しすぎるからかな?
明日はお祭りだというのもあり、今からワクワクするが、それ以上に緊張する。
しかし、お祭りはお昼を過ぎて少し経ってから始まるので、今から緊張していてはダメだと思い、気合いを入れ直す。
学校から家に帰って来て、特にすることもないので、本でも読もうかなと思っていると、ピンーポーン、と玄関のチャイムがなった。
宅配便とかかな? でも、そんな予定はないよね‥‥。
玄関の扉を開くと、そこには由南ちゃんの姿が。
「あれ? どうしたの由南ちゃん?」
遊びに来たのだろうか‥‥でも、遊ぶにしては荷物多くない?
何だか由南ちゃんにしてはいつもはしなさそうな、珍しい行動だらけで、全く予想できない。
「泊まりに来たわ」
「‥‥‥‥え?」
え、何? 家出?
◇◆◇◆◇◆
特に理由は聞かず、家の中に入れたのだが、本当に一体何があったのだろうか‥‥。
‥‥やっぱり、家出?
「別に家出じゃないわよ」
ふぇ!? だから、たまに私の心の中のこととか読むのやめて!?
「由南ちゃん、本当に私のことわかってるね‥‥。 それで、一体どうしたのさ?」
これだけいきなりってことは、それだけの理由があるってことだよね‥‥!
「いや、普通に遊ぶためと明日のために、泊まりに来ただけだけど?」
「あれ、そうなの? 特に連絡もなかったから何かあるのかと思ったんだけど‥‥」
まぁ、由南ちゃんなら別に連絡しなくても全然泊めていいんだけど、一応兄さんには聞いておかないといけないし‥‥。
「あー、ごめん。 すっかり忘れていたわ‥‥。 まぁ、今からのことを考えたら言わなかった方が良かったかもね」
「え? 何で?」
何だか急に不安が‥‥。
「今日のうちに明日のこと、浴衣とか色々と決めてしまおうと思っているから、奈留が逃げたりしないように連絡しなくて正解だったかなってことよ」
まぁ、それについては苦手意識が凄いけど‥‥。
でも、さすがにもう逃げたりはしないよ。
「いやいや、さすがにそれはないよ。 ‥‥家に入れるのは渋っただろうけど」
「そうでしょ? だから、まぁ良かったなって」
本当によくご存じで‥‥。
その後、兄さんに確認をとり、由南ちゃんとのお泊まりが決定したわけだけども、由南ちゃんと二人でお泊まりっていうのは久々なような気がして、ワクワクする‥‥!




