254 怒られていたようです
朝のお祭りの浴衣のことから意識を逸らすため、現在、昼休みはぶらぶらして過ごしていた。
特に何もすることがないので、図書室に行ってもいいのだが、信くんと会いそうで‥‥‥‥いや、会ってもいいじゃん! 今から行こう。
私が図書室の方に歩き出したとき、何処からともなく叫び声が聞こえてきた。
「助けてっす──!! たすけ───」
ひっ!? ビックリした‥‥。
一体何処から声が‥‥近くにある部屋は‥‥使われてない‥‥理科準備室?
それで今の声って、もしかして‥‥蕾ちゃん!?
何故、蕾ちゃんが助けてって言ってるの?
‥‥もしかして、何か事件に巻き込まれてるんじゃ!
「凄い叫び声だったよね‥‥。 たぶん蕾ちゃんだし、助けないと!」
私は理科準備室の扉が開いていることを確認すると、勢いよく開ける!
すると、そこには、蕾ちゃんが怒られていた‥‥‥‥詩唖先生に。
「お、奈留か。 すまんな今取り込み中だ」
あ~昨日の宿題のことね。
「あ、奈留ちゃんいいところに! この悪魔から助けてほしいっす!」
なんだろう‥‥うん。
「頑張ってね!」
「ちょ! 奈留ちゃん!? どうして出ていこうとするんっすか!」
「お邪魔かなぁ‥‥と」
「いやいや! 全然邪魔じゃないっすけど!」
まぁ、冗談はこのくらいにして、なんでこうなっているのかちゃんと聞かないとね。
◇◆◇◆◇◆
「えっと‥‥‥‥つまりは蕾ちゃんが、もっと怒ってほしいと自分から言ってきたと?」
「そういうことだ」
えっと‥‥うん、そうなんだ‥‥。
「そういうことだ‥‥じゃないっすよ! 全然そんなこと言ってないっすよ!? というか、奈留ちゃんも騙されてないで、ちゃんと私の意見も聞いてほしいっす!」
順番に聞こうと思ってたんだよ?
ちゃんと蕾ちゃんの意見も聞くつもりだったし、それに詩唖先生が嘘をついているのは普通にわかるし。
「いや、九十パーセントくらいは冗談だと思ってたよ?」
「真実だと思うに、十パーセントは多いっすよ! 本当に詩唖ちゃんも冗談で私に変なキャラつけるのやめてほしいっすよ」
「悪いな」
本当に詩唖先生は蕾ちゃんを弄るのが好きなんだなぁ。
「で、なんでこうなったかというと、私が宿題をズルしてさっきまで逃げてたから怒られてるんっすけど‥‥」
まぁ、仕方がないような気もするけど、蕾ちゃんもそこは反省してるしね‥‥。
「あーうん。 詩唖先生、これについては蕾ちゃんわざとじゃないから許してあげて?」
「わかった。 いいぞ」
お、意外とすんなり。
まぁ、もう十分に怒っていたのかもしれないな‥‥。
「何っすか、この私と奈留ちゃんの格差は‥‥」
「ん? 差別だぞ、蔭道」
「それ、絶対教師が言っちゃいけないと思うっすよ!?」