253 全員一致で‥‥?
「なんで、そんな楽しそうなこと、言ってくれなかったんっすか!」
「いや、蕾ちゃん、いなかったし。 というか、まだ決まったばかりだし」
信くんの家に行った次の日、由南ちゃんと蕾ちゃんにお祭りに行くことを話したら、真っ先に蕾ちゃんからそんなことを言われた。
別に仲間外れにしたわけでは断じてなく、二人には学校で言えばいいと思ったからで‥‥。
「祈実さんもいるのか‥‥いや、磨北くんと出かけるんだから、ある意味では成功か‥‥」
由南ちゃんは小さな声で何か呟いていて、はっきりとは聞こえなかったが‥‥お、怒られるのだろうか?
「‥‥どうしたの、由南ちゃん?」
「いや、良いと思うわよ。 うん、お祭りも楽しいしね」
おぉ、怒られなかった‥‥。
「というか、そのお祭りって毎年やってるんっすか?」
「あれ? 蕾ちゃん、行ったことないの?」
確か、蕾ちゃんが一人暮らしをする前も同じ小学校だったから、この付近に住んでると思ったんだけど‥‥?
「お祭りって別に一人で行こうとは思わなくないっすか?」
「あ‥‥うん、そうだね」
まぁ、確かに別に行こうとは思わないね。
一瞬頭に浮かんだことは言わないでおこう‥‥。
「友達がいなかったのね」
「絶対に言っちゃいけないっすよそれ! なんっすか、その哀れんだ目!」
スッと言ったね!
これは一応、蕾ちゃんのフォローを‥‥。
「お祭りに興味がなかっただけなんだよね?」
「そそそそ、そうっすよ!」
蕾ちゃん、凄く挙動不審になってるけど!?
「まぁ、一人では行かないわよね。 そもそも、特に行かない時ってお祭りとかは、うるさいだけだし」
「もーなんでそんなこと言っちゃうかなぁ。 ああいう雰囲気は楽しいじゃん」
人が多くて大変だけど、お祭りの音や声は良いものだと思うけど‥‥。
「でも、私は初めてなのでドキドキっすよ。 最近は家に籠っていることが多いっすから、何だか今から楽しみっす!」
お、この雰囲気は皆来てくれそうな感じだね。
「ということは、蕾ちゃんも由南ちゃんも参加ってことで大丈夫?」
「私はいいわよ。 特に予定もないからね」
「私もっす!」
良かった~、由南ちゃんに断られたら行けなくなるところだったよ‥‥。
兄さん、本当に行かせないようにしそうだからな。
「あ、服どうする?」
え? 私服で行くんじゃないの?
「どうするとは?」
「浴衣」
浴衣か‥‥‥‥浴衣!?
前の水族館の時のような服選びみたいになるのは勘弁してほしいので、出来れば私服でお願いしたい!
「‥‥私はやめ「いいっすね! 皆で着るっすよ!」とく‥‥あぅ‥‥」
くっ、蕾ちゃんに遮られてしまった‥‥。
「ふっ、決まりね」
由南ちゃん‥‥‥‥。




