April fool 同じ人を会わせてみる
※注意 この話は本編とは関係ありません! つまりはこの話で起こった出来事は本編では起こっていないということであり、飛ばしていただいても大丈夫です。
本編では今後も絶対に会わないであろう人達を会わせてみました。
思い付きで書いてみたので、温かく見守っていただけたらと思います。
とある、小さなカフェに、コーヒーを飲みながら、なにやらレポートのようなものに目を通している女の人が一人。
その姿は何処か、絵になるほど、カフェの雰囲気と合っていた。
カフェに来てからの三十分、彼女は誰かを待っているのか、たまに入り口の方を見ては、誰も来ていないことを確認すると、また手元に目を落とす。
そんなことを繰り返していると、いつの間にか手元のコーヒーカップは空になっており、彼女は店員を呼ぶ。
「すまぬでござる。 もう一度、先程のものと同じものを」
「‥‥あ、はい」
その女の人が喋っている語尾で、店員は一瞬の間があいてしまったが、お客様に失礼をするわけにはいかないので、特に何も言わずに、店の奥に戻っていく。
ほどなくしてコーヒーが運ばれてきて、またその女の人は先程と変わらぬ動作を繰り返す。
そして、彼女が飲んでいる、二杯目のコーヒーの量がコーヒーカップの半分くらいまで差し掛かったとき、入り口の方から待っていた二人の内の一人が入ってきた。
その人は、コーヒーを飲んでいた女の人の席に向かって歩いて行く。
「少し、遅かったかしら?」
入ってきた彼女の名前は蔭道蕾。
現在、大学生で、大学の先輩だった人と一緒に暮らしている‥‥らしい。
「そんなことないでごさるよ。 まだもう一人来てないでござるから」
「そうなのね。 あ、店員さん、私にもこの人と同じものを」
蔭道蕾が、近くのテーブルのカップを片付けていた店員に言う。
店員はすぐに奥に戻っていった。
「ふぅ、それで、あの子はいつ───」
「ここっすか! どうもっすよ!」
「はぁ、来たら来たでうるさいわね」
「あはは、賑やかで楽しいでごさるよ」
こうして、不思議な三人のお茶会が始まった。
◇◆◇◆◇◆
「始めましてっす! 蔭道蕾と申しますっすよ! 年齢は十三歳っす!」
「名前は別に言わなくてもいいわよ‥‥。 はぁ、私も蕾よ。 年齢は‥‥たぶん二十一だと思うわ」
「あはは、たぶんってなんでござるか。 というか、二人とも同じ顔でござるから、面白いでござるな♪」
その後、中学生の蕾もコーヒーを注文し、三人で楽しくおしゃべりをする。
────十分後
‥‥はずだったのだが。
「えぇ!? この人私の八年後っすか!? ‥‥なんか嫌っす‥‥」
「なんでよ! 私だってあんたみたいなチビが私なんて考えられないわよ」
「中学生なんだから小さくて当たり前なんっすよ! 逆にあなたは、よくそんなにバカみたいにでかくなれるっすよね!」
「何よ!」
「なんすか!」
出会って、十五分も経たずして、二人は言い争っていた。
その二人を元々いたお姉さんが席から立ち上がり止める。
「まぁまぁ、二人とも落ち着くでござるよ。 まずはお互いのことを知ることから始めて、仲を深めるのがいいでござる」
「同じ人なんっすから別に言わなくてもわかるんじゃ?」
「まぁ、私の方はいいわよ」
◇◆◇◆◇◆
更に十分後、お互いのことを知って、二人が仲が良くなることは‥‥。
「ふっ、タイムマシンを結局作りかけなんてね」
「はん! もう作る必要がなくなっただけっすよー! そんな作るまで、ひーくんと会えなかった人とは違うんですー!」
「なんだとチビ!」
なかった‥‥。
その光景に、お姉さんは頭を抱える。
「なんで、同じ人なのにそんなに仲が悪いでござるか‥‥」
「「だ、だって‥‥」」
「はぁ、もっとほのぼのとした会を期待していたんでござるがな‥‥」
「「ご、ごめんなさい‥‥」」
お姉さんが少し悲しんでいるのが見えた二人は、急に申し訳なくなり謝った。
暗くなった空気をお姉さんは笑顔でもう一度明るくしようとする。
「まぁ、まだ時間はあるでござるし、今から楽しくしていくでござるよ!」
「そ、そうっすね!」
怒られるのかと思っていた蕾たちは、ほっとしつつ、二人も納得したのか、頷く。
そして、一呼吸置いたからか、二人とも冷静な状態になった。
「そうね。 ‥‥ごめんなさいね、少し大人げなかったわ」
「ううん、私も言い過ぎたっすよ。 たぶん色々と嫉妬もあったんだと思うっす‥‥ごめんなさい」
お互いに謝り、そこからはお姉さんが想像していた通りの楽しいお茶会が始まった。
◇◆◇◆◇◆
話が盛り上がっている時、大学生の蕾がお姉さんに気になることを聞いてみた。
「あ、そうだ、あなたの話を聞かせてよ」
大学生の蕾の視線はお姉さんに向く。
続いて、中学生の蕾も気になるのか、キラキラした目でお姉さんを見ている。
「私の話でござるか?」
お姉さんは首を傾げる。 自分の話なんて気になるのだろうかと。
「うん。 そう、あなたの話」
「‥‥‥‥あれ? そういえば、流れで話してたっすけど、お姉さんって誰なんっすか?」
「あ、言ってなかったでござるか? 私の名前は───」




