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23 出発

「ごめんね~。 急に誘っちゃって。 商店街のクジをしたら、まさか二等が当たるとはね」


 さっき家に来たばかりの広葉が私に向かって言った。

 いつもは遠慮なく家のリビングに入ってくるのだが、外に行くからか、玄関で私達を待っている。


「商店街のクジですか‥‥」


「うん、暇だったからやったら当たってね。 これはもうみんなで行くしかないと思ったわけ」


 商店街のクジってなんか色々な所でよく聞くけど、本当はないものだと思ってた。

 本当にあるんだな!


 あと私には関係ないが、そこは商店街とかで使える商品券とかにしといた方が客も呼べていいのではないだろうか。

 なんだよ遊園地のチケット四枚って‥‥。


「でも余裕のある次の休みにしていたら、こんなに慌てて行く必要ありませんよね。 今日行く必要はなかったんじゃ?」


 そんな期限ギリギリのチケットを用意するはずはないだろうし。


「いや~、クジの景品じゃなくて、当たったことが嬉しくて引き出しに大切にしまっていたら、いつの間にか期限ギリギリに‥‥」


 誘ってもらったのは嬉しいが、時間がないのは貴様が原因か!

 まぁよくありそうなことではあるけどさ。


「まぁ、仕方がないことですね。 悔やんでも時間が戻せる訳じゃないんですから。 じゃあ小乃羽ちゃんの家に行きましょうか」


 小乃羽ちゃんの家に寄り、その後電車に乗り目的地まで行くという順番だ。


「‥‥そうだね。 あれ? そういえば陸は?」


「あれ、まだ部屋かな? 兄さーーん!! もう行くよー!」


 大きな声で兄さんを呼ぶと、階段から降りてくる音が聞こえる。


「すまない、待たせて。 カメラを探していたんだが中々見つからなくてな」


 カメラって。最近は携帯があるから、あまり持っていかないんじゃないかな?


「携帯で撮ればいいんじゃ‥‥」


「いや、やはり綺麗に奈留を撮るにはカメラじゃないと」


 何だか運動会にいる何処かの父親みたいだね兄さん。


「携帯でも綺麗に撮れるよ。 あと写真は恥ずかしいから私を撮るのは出来るだけ少な目にしてね。 じゃあもう行くよ兄さん」


 そして、私は玄関の扉を開けた。


「奈留が反抗期か! 広葉どうしたらいい!?」


「あれが反抗期なら、他の反抗期迎えている人達は多分頭のネジ数本ぶっ飛んでることになるな」


「いいから行くよ二人とも!」


 小乃羽ちゃん待たせているんだから!

 それでなくとも時間がないんだから、無駄話はしないでもらいたい!

 まぁ四人揃ったら別にゆっくりでもいいかもしれないが。


 そして、外に出ると外扉の前に、家で待っているはずの小乃羽ちゃんがいた。


「すいません御姉様。 待ちきれなくて来ちゃいました♪」


 ‥‥なにこの子可愛い。

 抱き締めたい!


「何だかごめんね。 遅くて」


「いえ! 私が来たくて来たんですよ。 それに私の家までくる手間を省いた方が時間短縮になりますしね」


 時間のことも考えてくれるなんてなんていい子なんだ。

 それに急に誘ったのは私なんだから、本当に申し訳ない気持ちでいっぱいだよ。


「じゃあ、このまま駅に行こっか!」


 そして私達は駅の方に歩き出した。

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