244 バレちゃうのね‥‥
数分後、由南ちゃんも合流して、三人で登校している。
長期休みが始まる前から、結構三人で行っているはずなのだが、また新鮮な気持ちになれる。
久々の制服姿など、学校が始まることを実感させてくれるしね。
「奈留ちゃんは本当に真面目っすね‥‥。 まぁ、そこがまた良いところではあるんっすけど」
いや、ただ私は羨ましいなぁ~と思って、自分が真剣にやったのがバカらしくなっただけで、別に真面目って訳じゃないと思うんだけど。
「真っ白な心を持っていらっしゃるのよ。 私たちと一緒にしちゃ、失礼にあたってしまうわ」
「由南ちゃん、朝から、からかうのはやめてほしいんだけど。 というか、由南ちゃん、笑いそうな顔を我慢してるよね、ね!」
そんなに持ち上げられて、私は何処かの女神様か何かなのか!
「でも、人工知能はずるいわね。 私だって頭よくないのに頑張ってやったんだから」
いや、由南ちゃん、あなた頭良い方だから! 私はともかくとして、蕾ちゃん基準で考えたら駄目だから!
「普通に上位とってたよね? でも、宿題の件はそう思うでしょ?」
「いくら払えば、貸してくれる?」
「ちょ!?」
由南ちゃん!?
「冗談よ。 別に自分で出来ることをしてもらおうなんて思わないわ。 それでなくても成績が悪いのに‥‥」
いやもう、由南ちゃん、周りと比べすぎて、感覚がおかしくなっていらっしゃるんだが‥‥。
そういう時は、兄と広葉を思い出せば、きっと精神が落ち着けられると思いますよ‥‥‥‥それじゃあ、ダメ?
「ま、まぁ私も別に全部してもらおうと思ってた訳じゃないんっすよ? 試運転してみたら思いの外うまくいったことが嬉しくて、気づいたら全部終わっていたという感じっす」
「それなら、まぁ‥‥仕方がないのかな?」
◇◆◇◆◇◆
「詩唖ちゃんに怒られたっす‥‥」
「あれ? まだホームルームすら始まってないけど?」
蕾ちゃんとは教室が別々なので先程廊下で別れたはずなのだがすぐさま私たちのクラスにきた。
というか、怒られたって、まだこの時間帯は宿題を提出してないんじゃないの?
何故、先生に見られた‥‥。
「何で怒られたのよ」
「廊下で偶然、詩唖ちゃんに会ったんっすけど、いきなり宿題を疑われて、見せたらバレたっす。 何故わかった‥‥やっぱりあの先生、普通の先生じゃないっす‥‥」
まぁ、普通の先生ではないのは、詩唖先生の正体を知らなくても、誰もがそうだと納得すると思うけど‥‥。
バレたのはたぶん、花さんを近くで見ているからなんだろうなぁ。
あとは花さんが色々と中学の頃の話をしているのかもしれない。
「いや、見ただけで気づかれるって、変すぎるでしょ。 蕾、ちょっとその宿題見せてみなさいよ。 原因がわかるかもしれない」
「いいっすよ」
そういって、広げられた宿題を見て、私達はわかってしまった。
「これは‥‥」
「あ、うん‥‥」
「ど、どうしたっすか!? 何か問題が?」
蕾ちゃん、これを見ても不思議に思わないのだろうか‥‥。
「「これ字が綺麗すぎるんだよ!」」
なに律儀に明朝体で書いてあるのさ!
この字は、普通の人がすぐに書ける字じゃないから!
こんな印刷したような字だったら、誰だってズルだと思うよ‥‥。
どこぞの習字のお手本か何かか!?
で、でもまぁ、ちゃんとシャーペンで書いてあるから、手書きが凄く綺麗で! っていうのは‥‥通らないだろうなぁ。