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239 広葉は語る‥‥

前回に引き続き、前世の森田広葉さん視点です。

「何か最近変わったこととかあるか? まぁ、何もないならそれでいいが」


 自分の目でもきちんと見ているが、見えないところはもちろんある。

 そういう見えない重要なことを高校生の俺が見ている可能性もあるからな。

 一応聞いておかないと、後で後悔したくはないからな。


「あ、そういえば、聞いてくださいよ。 奈留なるちゃんが男の子と二人で遊んでたんですよ!」


「‥‥そうか、まぁ知ってはいたが、別に問題はないんじゃないか?」


「そうなんですけどね!」


「なんなんだよ、お前‥‥」


 こいつは奈留なるのことが好きみたいだったが、精神がりくだと教えることで諦めてもらおうと思っていたのだが、やはりそこは俺。

 諦めることを知らないようだ。

 しかし、本人ももう無理だとは心の奥では、わかっているのか、特に邪魔になるようなことはしていないが。


 まぁ、正直に言って、あんな奈留なるのようなやつが幼い頃から一緒だったら好きにならないと言うほうがおかしな話だ。

 それをわかっているからこそ、俺は俺に強くは言えない。


「知っているならいいんですよ。 あとは‥‥特にないですね」


「そうか‥‥。 異常がないならそれでいい。 あ、そういえば、少し夕闇ゆうやみ兄妹の小さい頃の話を聞きたいんだが?」


 りくに直接聞けばいいとは思うんだが、もしも嫌なことがあれば嫌だしな。

 その点、俺は気を使わなくていいし、りくたちと小さい頃から一緒にいて、よく知っているだろうしな。


「え? 先生も同じ体験をしたんじゃ‥‥?」


「だから、色々と違っているんだって」


 大事件となれば、何処の世界でも同じようなことが起こるが、小さな問題はいくらでも変わるからな。


「あ、そうでしたね。 でも、俺も細かくは覚えてないですよ?」


 それは時間も経っているだろうし仕方がないな。

 まぁ一から聞いていたら、時間もないだろうし。


「大きな出来事みたいなのがあれば、これでいい」


「大きな出来事ですか‥‥。 あ、先生は小学生の二人が一時期仲が悪かったのを知ってますか?」


「いや、初耳だな」


 あそこまで仲が良いのに意外だな。


「まぁ、ほとんどりくが悪いんですけどね。 嫉妬っていうか。 でもその時の奈留なるちゃんも、そこまで兄好きみたいな感じでもなかったので、ギクシャクしてたんですよね」


「あまり考えられないな。 で、その変わった原因ってのは?」


「俺も詳しくは知らないんですけど、奈留なるちゃんが一人でいるところを通り魔みたいなものに襲われそうになったとかなんとか」


「は!? それ大丈夫だったのかよ!」


 そんな大事を言われるとは思っていなかったというのもあるが、思わず冷静さを欠いてしまった。


「ちょ、先生落ち着いてくださいよ。 無事だったから今、奈留なるちゃんが生きてるんじゃないですか」


「そうだよな、それでどうなったんだ?」


「まぁ、その通り魔は包丁を持っていたらしくて、奈留なるちゃん動けなくなっちゃったみたいで、でも丁度良いタイミングで助けたのが、りくなんですよ! ‥‥あ、俺が知ってるのはそれくらいですね。 いや~、でも、今から思うとドラマみたいな話ですね」


 ギクシャクしていても、りくという人間は優しいから、飛び込んでいったんだろうな。


「なるほど、大体わかった。 それで、奈留なるは恩のようなものを感じてるってことか?」


「う~ん、それも、もしかしたらあるかもですけど、りくが素直になったっていうのが大きいと思いますよ。 あんなことがもう二度とおきないように、妹を守らなくちゃって」


「‥‥何となく二人がどうしてあんなに仲が良くなったのかわかったような気がするよ」


 しかし、そんな出来事、俺がいた世界では起きてないよな‥‥。

 そこそこ大きな出来事だし、今までにあっても不思議じゃないが‥‥この世界特有なのかもしないな‥‥。


 まぁいいか。

 ふぅ、一応、森田もりたに聞いておいて良かったな。

 詳しい話は、問題がなければ、りくに聞いておこう。

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