236 呆れられるよりは‥‥
カフェでの兄さんたちに出会う出来事があり、結果その日はそのまま信くんとは解散することになった。
あのままいても、兄さんたちがいて落ち着かなかったしね。
でも、正直、由南ちゃんにあれだけ色んなことをしてもらっておいて、何も成果がなかったのは、本当になんて言えばいいだろうか‥‥。
いや、本当はあったんだよ? 思った以上にうまく話せたとか、磨北さんと、改めて友達になれたとか。
でも、それって磨北さんって再認識したからであって、元々の信くんと既にしていたことなんだよね。
つまりは、由南ちゃんに言っても、なに言ってるんだこいつは‥‥ってなるだけなんだよ。
実際なにも出来なかったし、由南ちゃんにはしっかり怒られておこうと思い、服を返すのも含めて、由南ちゃんの家に行ったわけなのだが。
「うん、仕方がないのかもね‥‥」
「怒りを通り越して、呆れていらっしゃる!?」
まさかそんな反応をされると思っていなかった私は凄く驚いた。
怒られるのは辛いけど、そんな反応をされるなら怒られた方がいいよ‥‥!
「え? いや、別に呆れているわけじゃないわよ。 ただ、もう少し、私が外見を変えられたんじゃないかなと」
あ、自分に対してだったんですね!?
その向上心は凄いな‥‥さすが、由南ちゃんだね。
あ、でもあれ以上となると勇気が必要となってくるので、あまり着たくはないわけなのだが‥‥。
「由南ちゃん、凄いよかったよ! 信くんも誉めてくれたし」
「いや、向こうから告白してくれるくらいには磨きあげようと思っていたんだけど」
さ、さすがにそれは無理なんじゃないかな?
そもそも、信くんが私のことを友達くらいにしか思ってないだろうし。
「由南ちゃん、そこまではさすがに‥‥」
本当にそんなの天地がひっくり返ってもあり得ないようなこと‥‥。
「そう言うなら、奈留が努力しないと進まないでしょ‥‥! 全くもう‥‥」
「あ、やっぱり怒られるんですね‥‥」
そのあと、私はしっかり由南ちゃんに駄目なところをいっぱい言っていただきました。
うん、呆れられるよりは、マシだけど、やっぱり辛いです‥‥。
◇◆◇◆◇◆
少し後、蕾ちゃんも呼び、三人でお茶会のようなものをしているのだが、その時にもまだ信くんとの話が続いていた。
「へぇ、結局告白はしなかったわけっすね。 でもひーくん達が来ちゃたら仕方がないような気もするっすけど」
「まぁ、確かにね。 よく、お兄さんからなにも言われなかったっわよ。 そこはよかったわね」
「そうだね、いつもは結構言われるけど、今回は特に兄さんが怖い! みたいなことはなかったな‥‥」
祈実さんがいたから、祈実さんに説得されてなにも言わなかったっていうのもあるかもね。
それに信くんはいい人だし!
あとは兄さんにも色々あったから、そういうことにはあまり口を出さなくなったのかも?
最近では前よりも活気があるように見えるし、良い傾向だとは思うんだけど‥‥。
恋愛はやっぱり人をやる気にさせる力があるのかも‥‥うん、そうだと信じたい!