22 お誘い
「奈留、付き合ってくれ!」
日曜日、まだ早朝なのにも関わらず、またしてもやることを終わらせてしまった私は自分の部屋で本を読んでいると、兄さんが入ってきて第一声にそう言った。
「何処かお出掛けするの? 一緒に行くのはいいけどあまり遠くは嫌だな」
「一切の迷いなく言われると、なんだか期待してなくても、とても悲しい気持ちになるな‥‥。 まぁそれは置いといて、一緒に出掛けてほしいんだ」
まぁ別に暇だからいいんだけど。
あれ? 昨日兄さん『明日は家で奈留と二人きりだぜ、ヒャッホゥーー!』って言ってなかったっけ?
「でも兄さん、昨日は出掛ける予定なんて言ってなかったよね?」
「あぁ、さっき広葉から電話がかかってきてな、クジで遊園地のチケット当てたんだと。 それで、一緒に行かないかと誘われた」
うん、誘われたんだね兄さんが。
じゃあ、兄さん一人で行けばいいじゃん。
「兄さんが誘われたんなら私行く必要ないよね。 いってらっしゃい♪」
「行きたくないからって、輝いた笑みで俺を送り出そうとしないで! まだ話の続きがあるから!」
「続き?」
「そのチケット四枚あるんだよ。 だから二人じゃ余る」
別に一度に全て使う必要はないと思うが、それを言ったら言ったで、大勢の方が楽しいからとか言ってきそう。
でも四枚なら。
「森田さんと兄さんで、二回遊べるね♪」
「二人で行く前提なのやめて! 男二人で二回、遊園地は中々キツイ! ま、まぁそれで、奈留を誘ったわけ」
そういうことか。
遊園地なんて、あまり行かなかったから少しワクワクがないわけではない。
「でも兄さん、私入れても三人だけど?」
誰か他にいるのかな?
「もう一人は奈留が決めていいぞ」
友達少ない私に一人決めろとは無茶苦茶いいますね!
いっても、私が誘う相手はもう既に決まっている。
困った時の由南ちゃんである。
「じゃあ電話で聞いてみるよ」
◆◇◆◇
『無理よ』
ツーツーツー
終わった‥‥。 私の人生もうダメだ‥‥。
由南ちゃんがダメなんてそんな馬鹿な。
誘える友達由南ちゃんしかいないのに。
これから私は友達が少ない可哀想な子として、生きていくんだね‥‥。
あ、そういえばこの前小乃羽ちゃんに連絡できるように聞いといたんだった。
これでダメなら、もう‥‥。
『いいですよ、御姉様』
キターーーー!!!
「じゃあ家にいて。 迎えに行くから」
『わかりました。それじゃああとで』
よ、よかった~。
これで兄さん達に可哀想な目で見られることはなくなった!
いやまぁ友達誘えなくてもそんな目で見ないと思うが。
よし、早速準備しないとね!




