234 勢いで言えば怖くない!
昨日の緊張や不安は、ほとんど信くんと話している内に消えていた。
元々、前世で、何も知らないところから話をしていたんだから、不安とかは今さらだったのかもしれない。
ただ、もしもの場合が怖かっただけで。
で、普通に話を出来たのは、本当に嬉しいことなんだけど、私はその先に最終目標があるのだ。
そう、告白である!
このまま、友人でいるのでも、私はいいかなぁ~、ってそう思ってしまいそうになるが、そこは自分に気合いを入れ直す。
自分の気持ちを伝えるまでが、私がもう一度出会えたら、やると決めたことなのだから!
あ、でも磨北さん前世でモテていたし、他に好きな人がいたりして‥‥そしたら、私振られるよね!?
だって、ただの友人である可能性がほとんどなんだし!
もう話せなくなる‥‥‥‥それは嫌だ!
「奈留さん? え、急に涙目になってどうしたの!?」
「え!? あ、その‥‥ゴミが入っちゃったみたいで」
「だ、大丈夫?」
想像するだけで、この有り様‥‥。
これ、想像じゃなかったら、私どうなっちゃうんだろう‥‥。
うわ~! 気持ちが揺らぐよ~!
「う、うん、大丈夫。 それよりさ、信くん、話したいことがあるんだけど」
「何?」
もう、これは勢いで、そう! 勢いで言えばいいんだから!
「信くん、私! 「あ、信くんと奈留ちゃんじゃん!」‥‥あれ?」
「きさねぇ?」
カフェの入り口のところを見ると、祈実さんの姿が‥‥‥‥あ、今世のね。
な、なんて凄いタイミングで入ってくるですか。
ま、まぁ、勢いで言ってしまおうとしていたから、神様が止めてくれたのかも?
確かに、今ここでするのもおかしな話だしね。
うん、良かった、良かった‥‥‥‥何だろう、悲しい‥‥。
「きさねぇ、どうしてここに?」
「んー? あぁ、陸くんと広葉くんと今日遊んでたんだけど、何となく休憩したいなぁと思ってね。 だから、もうすぐ二人もここに来るはずなんだけど‥‥」
え、兄さんここにくるの!?
二人で会っていたら何か言われそうだったから、特に何も言わずに来たんだよね‥‥。
「‥‥ねぇねぇ、信くんもお姉さんに伝えてなかったの?」
私は祈実さんに聞こえないように小声で信くんに話す。
「‥‥も、ってことは奈留さんもなんだね。 うん、なんだか付いてこられそうだったから、言わずに来たんだよね‥‥」
こんなことになるなら言っておいた方がよかったかもしれない‥‥。
来ないでって言ったら、ちゃんと兄さんだって気を使ってくれたかもしれないのに。
はぁ、失敗したなぁ‥‥。
で、でも、今日は大分進歩したし、これくらいで良かったのかも‥‥と私は自分にそう言い聞かせた。