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233 君の笑顔が‥‥

 しんくんと話している内に思い出してくる、当時の記憶。

 あの時とは性格も知識も、もちろん姿も違うけれど、この時間は何も変わらない。


 私はこの笑顔に癒されていたし、好きだった。

 だから、今世で、しんくんと本の話をした時、凄く磨北まきたさんに近いものを感じていたし、凄く盛り上がって話すことができた。

 私はその時に磨北まきたさんと重なった、しんくんが気になりだしたのかもしれない。


 全てを知って、今こうして話をしているから、言えることなんだけどね。


「でね、その物語の特徴は‥‥‥‥ってどうしたの、奈留なるさん?」


 あ、ボーッとしていたみたいだ‥‥。

 会話中なのに駄目だね。


「ううん、この感じが懐かしいと思っただけだよ。 今世でも沢山話していたけど、知った後だとそう思えてくるんだ」


「確かに僕達の前世で話していたときは、いつもこんな感じだったからね。 今世で出会った後も同じ事をしていたなんて何だか、おかしな感じ‥‥、 でも、奇跡なのは間違いないよね」


「凄いことだよね。 色んな部分が変わったのに、そこは変わらないなんて」


 出会った場所や周りの環境まで、何一つ合っていないはずなのに、こうして前世のことを知れて、以前のように話せるのは、いったいどれ程の幸運が重なったんだろう。


「変わったところも多いから余計に凄いことだと思うよ」


しんくんが思う、変わったところって?」


 やっぱり、お姉さんとかかな? 結構違う‥‥いや、それはしんくんが変えたのかもしれない。


「ん? そうだなぁ。 やっぱり、奈留なるさんかな?」


「‥‥え、私?」


 よ、予想外‥‥。 た、確かに女の子になってるし、大々的に変わっているけど‥‥。


「あ、姿のことじゃないよ? ただ、よく笑うようになったなと思ってね」


 た、確かにあの頃は笑うことは少なかったような‥‥あれ? こんなことを正直に言っちゃったら、磨北まきたさんとの話が面白くなかったみたいにとられかねないのではないだろうか!

 いや、面白かったんだよ? 面白かったんだけど、笑わなかったのは私の問題であって‥‥‥‥あー、どういうのが正解なんだー!


「え! あ、別にそんなことはないんじゃないかなぁ? わ、笑ってたよ?」


「確かに笑ってはいたけど、今ほどじゃなかったよ」


「うぐっ、あの頃は色々とあったというか‥‥」


「‥‥ぷっ、あはは、別に責めているわけじゃないよ? 僕は嬉しかったよ。 今こうして笑顔で話してくれることがね」


「そ、それは‥‥ありがとう。 でも、きっとしんくんのお陰でもあると思う」


「え、いや、僕は何も!」


 その後、二人でお礼を言い合ったのだが、なんだかそれがおかしくて二人とも吹き出した。

 きっと私もだけど、しんくんも笑うのが増えた‥‥いや、もっと何か。 心からの笑みに私は見えた。


 うん、やっぱりその笑顔が私は好きだな‥‥。

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