226 私、頑張ってみるよ!
「奈留‥‥‥‥奈留?」
「え‥‥あ、由南ちゃん、ごめん。 ぼーっとしてた‥‥」
信くんの前世のことを知ったのが昨日のこと。
あのあと夜、様々なことを考えてしまい、なかなか寝付けず、いつの間にか朝になっていた。
このままでは駄目だと、お土産を渡すついでに、いつものように由南ちゃんに相談しようと思い、来たのだが、どう話していいやら‥‥。
「磨北くんと水族館行ってきたんでしょ?」
「‥‥あ! なんで水族館来なかったのさ!」
「今それ言う? そもそもペアチケットだったんだから、私の分は元々ないわよ。 それに人多いだろうし」
そ、想像通りで逆に驚くよ‥‥。
「やっぱり元から行く気がなかったんだ! ‥‥‥‥でもありがとう」
「はいはい、どういたしまして。 それで、何があったのよ」
お礼をいったら軽く流されてしまった。
しかし、本当にどうやって話そうかな‥‥。
でも、自分の気持ちはまずちゃんと言わないとね。
「私‥‥信くんのこと、好きになったみたい‥‥」
「知ってるわよそれくらい」
‥‥‥‥へ?
「なななななんで!?」
「逆に気づかない方がおかしいわよ。 だって少し前から磨北くんといるときとか変だったもの」
そ、そうなんだ‥‥‥‥あれって好きってことだったんだね。
えっと‥‥つまりは祈実さんだと気付いてなかった状態で、信くんのこと好きになってたってこと!?
それはそれで、恥ずかしいような‥‥。
そうか‥‥私、本当に前世の祈実さんのことが好きなんだ‥‥。
‥‥‥‥でも、会うのはやっぱり怖いなぁ‥‥。
「そっか‥‥」
「それで、何を悩んでるのよ。 別に好きなら、そんな悩んだりしないでしょ?」
「‥‥振られるかもって思って」
流石に今の状態で気持ちを伝えることはまず無理だし、気持ちを伝えても、降られる未来しか見えないし‥‥。
「奈留‥‥。 まぁ、私が言えることはないかもしれないけど、後悔をしない選択をしなさいよ。 奈留がなんでそんなにはっきり言うのかはわからないけど」
「由南ちゃん‥‥」
そうだよね、この世界にきて後悔のないように生きようと思っていたのに、ここでなにもしないのはおかしいよね。
それに祈実さんにもう一度会えたら、告白するって言ったのは私じゃないか。
「まぁ、気持ちを決めてから、その勢いで行くっていうのもいいかもしれないけど、奈留だと失敗しそうだから、少し落ち着いた頃の方がいいと思うけどね」
ほ、本当によく私のことをご存じで‥‥。
由南ちゃんには、色々と気付かされてばかりだなぁ。
「ありがとう、由南ちゃん。 頑張るよ!」