21 本探し
「じゃあ私はそこの椅子に座っているから‥‥頑張れ♪」
うわー先輩だけど殴りてぇ~。
「何いってるんですか! 自分のことなんだから自分でやってください! 私は手伝うだけですよ」
そもそも何見つけたらいいかわからないし‥‥。
「はぁ、探すか。 あ、これメモ。 これに書かれている本があったら確保しといて。 従姉弟達に聞いたら結構な数あげてきてね」
題名がいくつか書いてあるメモを渡された。
いや思ったけどこれを職員に渡したら、いっぱつなんじゃ‥‥。
まぁでも結構多いし、本当に見つからないやつだけ聞いてみるか。
「了解です」
私達は二手に分かれて、探し出すことにした。
◆◇◆◇◆◇
結論から言えば、半分以上ははあっさり見つかった。
何故なら私が前世で好きだった本ばかりだったから。
何回か読んでいたから、場所もよく知ってるしね。
面白いので前世で広葉などに薦めたが、広葉はあまり、小説とか読まないから意味なかったけど。
「ご苦労だった!」
貴方は私の上司か何かですか!?
あ、一応先輩でしたね‥‥。
「結局、先輩一冊も見つけてこなかったですけど?」
図書館来たことないにしても、もう少し見つけれるだろ!
サボってたなこの先輩‥‥。
「いや、見つけてきたとも」
そう言って藍先輩は、一冊の本を出した。
題名は【死と夢の楽園】と書かれていた。
あれ‥‥何処かで聞いたことあるなこの題名‥‥。
読んだことはない‥‥でも‥‥。
あれ? そういえばそんな題名、メモに書いていないのだが?
適当に持ってきたのではなかろうか。
それぐらい疑うほど、今の藍先輩は信用がない。
「でも、その本の題名、メモにないですけど」
「え? ‥‥あぁすまない、そっちのメモは、うっかり抜けていたようだ。 まぁ見つけたのだしいいだろう。 じゃあこの位にして借りるとするか」
「でもまだ全部じゃないですけど?」
まだ結構見つけていない題名の本がある。
ここまできたら探してしまいたい。
「これだけあれば、従姉弟も満足するだろう。 本音をいうなら、持って帰るのが私なので出来るだけ少ないほうがいい」
その本音で何だか時間を無駄にしたような気持ちになった。
凄く見つけ損だな。
「本音をいう必要ありました?」
「言わないと夕闇が納得しなさそうだったから」
まぁ納得せずに、探そうと思ってましたが‥‥。
「そうですね」
「まぁ見たい本があるなら、今度は従姉弟と来るとこにするよ」
今じゃないといけないというわけでもないですもんね。
はぁ、何だか今日はボーと本を読むより充実した時間で楽しかった。
そこは先輩に感謝かな。
「わかりました。 それじゃあまた」
「あぁまた月曜の部活でな」
「はい、部活で」
そろそろ家に帰ろうと出口の方を向いた時、さっき別れたはずの藍先輩に呼び止められた。
「おい、夕闇」
「なんですか、藍先輩?」
「‥‥図書カードの作り方教えて」
‥‥そういえばこの人、図書館来ることない人だってこと忘れてた!