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225 喜びと恐怖と‥‥

最後、少しだけ磨北信くん視点になります!

 私の目から何か熱いものが込み上げてきた。

 今までの初恋を封じ込めていた心が、いっきに飛び出してしまいそうだった。


 でも、それと同時に恐怖が私を襲う。

 拒絶されるんじゃないかという恐怖が‥‥。


「ご、ごめん、しんくん。 私、帰るね」


「え? ゆ‥‥奈留なるさん!?」


 私はベンチから立ち上がり、しんくんを置いて公園を出た。


 怖い、磨北まきたさんを前にして何をしゃべっていいかわからない‥‥。

 しんくんが、祈実きさねさん?


 そんなこと、あり得るのか?

 祈実きさねさんも私と同じく転生しているなんて‥‥。


 どうして気づかなかったんだろう、そうかなと思うところはいくらでもあったはずなのに!

 いや、しんくんも言いたくないって言っていたんだから、隠していたんだろう。

 ‥‥‥‥私が鈍感だっただけでない‥‥はず‥‥。




 ◇◆◇◆◇◆




 家に帰った私は心底、後悔をしていた。


 あの時は恐怖や驚きで色んな気持ちがごちゃごちゃになった結果、逃げちゃったけど‥‥しんくんを置いて帰ってしまうなんて‥‥。

 でも、帰ってきてもう一度、しんくんのことを考えたとき、私が感じたのは恐怖ではなく、会えたことに対する喜びだった。


 でも、勝手に帰るなんて、私‥‥最低だ‥‥!

 メールでちゃんと謝っておかないと‥‥。




 でも、どうしよう‥‥‥‥しんくんが‥‥しんくんが‥‥祈実きさねさんだなんて!!



 この世界に祈実きさねさんがいることに私は嬉しくなっていた。



 こ、この気持ちを一体誰に伝えたら‥‥しんくんには無理です‥‥色々と駄目です‥‥。


 しかし、喜んでばかりもいられないよね‥‥。

 しんくんが、祈実きさねさんってことは一度亡くなっている可能性があるということだ。

 寿命を全うしてくれているのならいいが、もし、私と同じですぐだったら‥‥。


 それに、あの話を聞くかぎり、悩んでたことに私も含まれていたよね。

 図書室のことは完全に私だもんね‥‥。

 もし、私のことで悲しい思いをさせてしまったのなら‥‥いや、その先は考えたくない‥‥。



 で、でもどうしよう、私が前世、夕闇ゆうやみりくってことも、しんくんには知られてしまったわけで‥‥。


 ‥‥‥‥私が今、普通に女の子で生きていることに、拒絶されたらどうしよう‥‥!

 正直、その可能性が捨てきれない‥‥!

 そ、そもそも私と会うことによって、昔のことを思い出して、またしんくんが辛くなるんじゃないか?


 もう、これじゃあ、会いたいけど会えないよ!!




 ◇◇◇◇◇◇




 奈留なるさんが公園から出ていったあと、私はほっとしていた。


「な、奈留なるさんが‥‥夕闇ゆうやみくん‥‥」


 ほっとした理由は、顔を真っ赤にしているところを見られたくなかったのと、それに気持ちが高ぶって、意味のわからないこと言って、大失態をおかすかもと思ったからだ。


 奈留なるさんが夕闇ゆうやみくんだとわかったとき、私は今までの人生の中で一番嬉しかったんだと思う。

 もう会えないと思っていた人に会えたのだから。


 それと同時に、私は不安を覚えた。

 今の私を夕闇ゆうやみくんは友人として認めてくれるのだろうか‥‥。

 も、もし私が祈実きさねだってことを知って、拒絶されたら‥‥。

 いや、そんなこと考えたくない‥‥‥‥けど、それなら会うのが怖い‥‥。


 会いたいけど‥‥怖いよ‥‥‥‥。

 も、もうこれじゃあ、夕闇ゆうやみくんと話せる自信がないよ!!

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