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221 懐かしむ

 私達は三人、手を繋いで、歩いていた。

 その方が安心するんじゃないかと思ったからだ。


「でも、なんだかこうして歩いていると家族に見られそうだよね」


「え、家族!? そ、それはないんじゃないかな?」


 流石にそうは見えないんじゃないかな!?

 た、確かに真ん中に男の子がいるけどさ‥‥。


「そうかな? 三人兄弟みたいだと思ったんだけど」


 あ、そういう‥‥。

 てっきり、夫婦とかそういう家ぞ‥‥‥‥いやいや、それはないってさっき自分でも思ってたじゃないか!

 何だか、勝手に思って、勝手に緊張して、私はバカなのだろうか!


「な、中々見つからないね、どっちも」


 最近は話をそらすことが多くなったような気がする‥‥。

 ま、まぁ、見つからないって言うのも自然だよね!


 でも、本当に見つからない‥‥お姉さんの方もそうだが、迷子センターも。

 迷子センターの方は、施設の真ん中とかにあるんじゃないかと思ったんだけどな‥‥。


「うん‥‥。 早く見つけてあげたいんだけどね」


 姉弟はぐれたりしたら、どちらも心配だもんね。


 迷子といえば前世では‥‥‥‥いや、そもそも兄妹で外に遊びに行った記憶がないから、迷子もなかったな。

 あの妹と外でという時点であり得ないしね!


 そういえば、しんくんの前世では兄弟とかいたのかな?

 何となく聞きたい気持ちもあるけど、あまり詮索はしないでおこうって約束してたもんね‥‥。


「本当に何処にいる‥‥あと、あるんだろうね‥‥。 ‥‥あれ? しんくん、あそこに見えるのって迷子センターじゃない?」


「あ、本当だね!」


 お土産屋の近くにあるね‥‥。

 まさかこんなところにあるとは‥‥。


 その後、迷子センターの前まで行くと、丁度、男の子のお姉ちゃんらしき女の子がいた。

 まさか同時に見つかるとはね‥‥。




 ◇◆◇◆◇◆




「よかったよね、再会できて」


 感動の再会みたいに、男の子泣きながら抱きついてたし。

 お姉ちゃんもホッとしたようだった。


「‥‥‥‥え? うん。 本当に良かったよ。 これで心置き無く、水族館を回れるね」


 一瞬、上の空だったしんくんに、私は違和感を覚えた。


「どうかした?」


「え? あぁ‥‥少し前にも言ったけど、何だか自分を見ているように思えて、懐かしいなぁって。 まぁ、それだけだよ」


 同じ経験をしたって言っていたもんね。

 あの子達を見て、色々思い出して懐かしんでいるってことですね。


「そっか‥‥‥‥じゃあ、大きな水槽のところから見直そっか」


「そうだね、さっきは深海魚とかのエリアを素通りしたからね」


 お姉ちゃんを探している途中に面白そうな深海魚とかを見るのをグッとこらえて、探していたからね。

 今は深海魚をとてつもなく見たい‥‥。


 こうして私達は少し前に戻り、また初めと変わらずに二人で楽しみながら魚を見た。

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