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211 自分となると難しい

 ひとまず、兄さんの話は落ち着いて、私はマスターが持ってきてくれたコーヒーを口にする‥‥‥‥あ、おいしい♪


 蓮佳れんかさんはというと未だに私と同じテーブルの正面に座り、テーブルに顔を伏せている。


「ぷふぅ‥‥お仕事疲れた‥‥」


「あの‥‥蓮佳れんかさん。 私が伺ったときから蓮佳れんかさん一度も立ち上がってすらないですよね?」


 いや、まぁ実際は色々していたんだろうが‥‥。


夕闇ゆうやみちゃんまで私が仕事してないって言いたいように聞こえる‥‥」


「いえいえ! そんなことは! ただ、休憩中なのに疲れたっておっしゃったので」


 まぁ、日頃の疲れはあるかもしれないが、仕事中って言っちゃうと、今お仕事しているマスターに申し訳ないというか‥‥。


「今、休憩じゃないよ?」


「え? でも今まで座って‥‥」


「え? いや、仕事を‥‥」


 私達は驚いた表情でお互いを見た。


「「‥‥え?」」


 なにこの矛盾‥‥怖~い。


「いや、蓮佳れんか夕闇ゆうやみが言ってることが正解だかな。 お前仕事してないから。 自覚してないとか俺でもちょっと引くわ」


「もう、冗談だもん! 仕事したくなかっただけだもん!」


「もん! じゃない! あと仕事はしろ!」


 話が噛み合わないので、何処の不可思議な話かと思いましたよ‥‥。

 蓮佳れんかさん、本当のことを言ってそうな顔をするから、余計に驚くんだよね。


「じゃあ、仕事しますか」


 ようやく蓮佳れんかさんが立ち上がろうとする。

 するとマスターが。


「‥‥まぁ、今は客が夕闇ゆうやみしかいないから、夕闇ゆうやみの相手でもしてろ」


「え! ほんと! うん、そうする!」


 うん、マスターはこういうとき甘いですね、本当に。

 そこがお二人が仲の良い秘訣みたいなものなんでしょうけど。


「じゃあ、俺は奥にいくから、もし、もう一杯欲しくなったら、蓮佳れんかに言ってくれ」


「はい、ありがとうございます、マスター」


「おう」


 そう言って、マスターは奥に戻っていった。


「本当にいい人ですよね、マスターって」


「そうだね。 中々あんなにわがまま聞いてくれる人、私の回りではりゅうくらいだから、本当に結婚して良かったって思うな。 ‥‥りゅうは大変そうだけどね」


 蓮佳れんかさんはマスターの働いている姿を思い浮かべたのか、小さく笑っていた。


「いいですね。 そういうの‥‥」


「本当に同じ学校だったことに感謝だよ。 ‥‥あ、夕闇ゆうやみちゃんは好きな人とかいるの?」


「‥‥‥‥え!? なんでいきなり!」


 いきなりだったから、頭の理解が追い付かなかったよ!


「いきなりってほどでもないと思うけど‥‥。 まぁいるかなぁって」


「まぁ、いたこともありましたけど‥‥」


 前世の祈実きさねさんの顔が思い浮かぶ。

 まぁ、前世のことだから、今はもう‥‥。


 今世ではあまりそういうことは‥‥‥‥ん? なんで今一瞬、しんくんの顔が思い浮かんだんだろう‥‥。

 まぁ、仲が良いし、お姉さんが祈実きさねさんだからそれ繋がりでかな?


「いたことはってことは、今は?」


「今は中々、そういうことを考えてなくて‥‥」


「そうなんだ~」


 兄さんの恋愛をずっと気にしてたから、私となると難しいな‥‥。

 まぁ、今はそれよりも友達ともっと仲良くなりたいっていう気持ちの方が大きいんだよね。

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