204 夜に二人で
「えぇ────むぐっ!?」
「由南ちゃん、声大きいって!」
どうしても、二人のことを誰かに相談したくて、夜、由南ちゃんに言ってるんだけど‥‥。
凄く大声だったので思わず、由南ちゃんの口を手で塞いだ。
なんか、由南ちゃんのこんなに驚いた表情初めて見たかもしれないくらい驚いていた。
「だってそんな気配なかったし‥‥‥‥というか、福林さんから告白してなかったっけ?」
「まぁ、色々事情があるみたいなんだよ‥‥」
由南ちゃんに転校のことをいっていいものなのか、そこのところがまだわからない部分でもあったので、まだ言っていない。
「でも、なんで私に相談なの?」
「それがさ‥‥今思ったら、小乃羽ちゃんのこと知ってるのって、私と兄さんのほかには、森田さんと由南ちゃんのだけなんだよね」
祈実さんは、結局、紹介するっていっておきながら、兄さんに教えてもらってないようなので、知らない。
蕾ちゃんの場合はチラッと後ろ姿を見たぐらいで、顔も知らないみたいだし。
信くんも兄さんの初めてのデートの時に一緒だったけど、離れすぎていて、ちゃんと顔を見ていない。
「あぁ、そういえば、今いる他の人は接したこともなければ、ちゃんと見たこともないのね‥‥」
「うん‥‥だから由南ちゃんしか話せる人がいなくて‥‥」
そこのところ由南ちゃんなら私と同じ部活なのでよく出会ってるし、接する機会も多かったと思う。
「だから、蔭道さんが寝たことを見計らって相談してるのね」
「う‥‥うん」
隣を見ると、蕾ちゃんが気持ち良さそうに眠っている。
仲間外れにはしたくはないけど、さすがに知らないことを相談はできないしね。
あと、蕾ちゃんに相談したら、惚れ薬とか記憶改変とかそういう提案が出てきそう‥‥いや、今の蕾ちゃんは流石にそんなことないか。
でもまぁ、現実的なアドバイスをくれるのは、頼れるお姉さんの由南ちゃんである。
「まぁ、でも私が言えることはあまり奈留がでしゃばるべきじゃないってことぐらいかな?」
「ま、まぁ確かに二人の問題だしね‥‥」
交際させるために手伝うのとは違って、そもそも私が悩むことじゃないのかもしれないし。
‥‥え? なんで由南ちゃん、驚いた顔してるの!?
「‥‥‥‥奈留なら、いや私が解決したい! って言う感じだと思って身構えてたからビックリしたわ。 奈留って意外と空気読めるのね」
「それどういう意───むぷっ!!」
「はいはい、蔭道さんが寝てるから静かにね。 でもまぁわかってるなら、それでいいわよ」
わかってはいるんだけど、今のままじゃ、二人とも納得できないような別れかたをしそうな気がするんだよね‥‥。
「はぁ、でもこのままじゃ気になって、寝ようとしても眠れないよ‥‥」
「‥‥奈留、別に関わるなってことじゃないからね。 やり過ぎるなってことよ。 まぁ、今出来ることはお兄さんを元気付けるくらいじゃないかしら?」
「‥‥そうだよね。 うん、そうする」
「じゃあ、私達も寝ましょ? もう海で疲れて眠いのよ」
「そうだね、寝よっか」
そういって私達は目を閉じた。