199 遊びと終わり
その後、海ではたくさんの遊びをした。
ビーチバレーをしてみたり、兄さんと広葉の水泳対決とか、由南ちゃんと蕾ちゃんと水を掛け合ったり。
でも、色々やった中でも面白かったのは、スイカ割りかな。
「一応、スイカと木の棒は持ってきたよ?」
祈実さん、それいったいどこにあったんですか‥‥。
売ってたってことなんですかね?
「誰がする?」
「はーい! 俺やってみたかったんだよ! 俺やります!」
広葉がやるのか。
まぁ私も少しやってみたかったが、見る方も面白いからいいんだけど。
「あれ、でも、きさねぇ目隠しがないよ?」
「あ、本当だ。 忘れてたよ~‥‥。 どうしよっか?」
目をつむるだけだと、ちょっとした拍子に開けちゃうかもだしね。
「目隠しはないが、タバスコならあるぞ?」
「なに考えてるのか大体想像つくが、駄目だからな! 俺、死んじゃうからな!」
それ以前に何処から持ってきた‥‥。
「冗談だって、流石にそんなことしない。 俺は遊びのギリギリのところを攻めるのが好きなんだ」
「それも駄目だからな!?」
でも、こんな話してるのに二人とも楽しそうな顔をしてるし、やっぱり親友同士っていいなぁ。
「陸くんと広葉くんも、目隠しできるもの探してよ」
「あぁ、悪い悪い。 今、探す」
そういって兄さんたちも何か代用できるものを探し始めた。
代用できそうなものね‥‥。
「はっ! 私いいこと思い付いたっすよ!」
「ふぁ!? え、何?」
蕾ちゃんが大声がいきなりだったので少し驚いてしまった。
「私がひーくんの目を手で隠せばいいんっすよ」
えっと‥‥つまりは後ろから手で覆い隠して、だ~れだ?状態にするってことか‥‥まぁいいんじゃないかな?
「いいと思うよ。 それなら見えないしね。 でも、蕾ちゃん結構身長差あるけど‥‥」
「問題ないっす!」
おぉ、蕾ちゃんヤル気満々だね。
やっぱり、相手が広葉だから気合いが入るのかもしれないな。
「そっか、頑張って!」
「ありがと、奈留ちゃん。 行ってくるっす!」
そのあとは広葉がスイカ割りをするため、蕾ちゃんが手で隠していた。
でも、やっぱり身長差で蕾ちゃんが凄く背伸びをしていたのだが、その背伸びをして、頑張っている光景を見て、なんだかとても微笑ましかった。
「広葉、もっと右!」
結構近く! あと少しだよ!
「蕾ちゃん、右行くよ?」
「り、了解ですよひーくん‥‥!」
二人同時に足を動かす‥‥なんだろう、慎重な二人三脚見てるみたい‥‥。
この後、無事にスイカは割れ、広葉と蕾ちゃん、二人でのスイカ割りは終わった。
◇◆◇◆◇◆
「そろそろ、戻るか」
皆、一通り海を満喫したようなので、兄さんが皆に言った。
「そうだね。 俺もう泳ぎすぎてクタクタだよ‥‥」
「私も普段運動しないので、疲れたっすよ‥‥」
皆、結構疲れているようだ。
私はそうでもないんだけどな‥‥まぁ、これでも運動部に入ってるしね。
でも、終わりなのはやっぱり嫌なのか、少し名残惜しい気持ちになる。
「奈留、どうしたの?」
「‥‥ううん、何でもない。 また来ようね。 海」
「そうね」
こうして、私達は旅館に戻ることになった。