196 似合ってるね
海に出た私達は、先に着替えを済ませていた男性陣と合流するため向かっていると、ビーチに三人の人影が見えた。
すぐ、誰かはわかったが、何だろう、兄さんと広葉の間に挟まれている信くんってなんだか新鮮で面白いな。
「海キレイだね~。 それなのに。今ここに女の人がいないことが残念でならない‥‥」
「すぐ来るだろ。 というか磨北弟、何でそんなに恥ずかしがってるんだ?」
「い、いや、別に何でもないです‥‥」
温泉同様、結構戸惑ってるようです。
信くんは信くんで大変だなぁ。
「お待たせしました」
「おぉ、奈留‥‥‥‥可愛すぎて怖いな」
「兄さん、怖いってどういうこと!?」
その表現、ほめてるのかどうなのか、わからないよ‥‥。
「信くんも待たせてごめんね」
一応、この二人と一緒にいたんだから、大変だっただろうしね。
「ううん、待つのは慣れてるから。 奈留さん水着似合ってるね。 凄く綺麗‥‥」
一瞬ドキッとしたが、出来るだけ心を落ち着けた。
「そ、そうかな? ありがと。 信くんも似合ってるよ。 上に着てるラッシュガードも、何だか信くんに合ってるし」
「あはは、似合ってるなら良かったよ」
こうやって話してみて、昨日の出来事で関係が変わらないか少し不安だったが、今のところ変わらずにいて、ほっとしている私がいる。
「‥‥あれ? そういえば、きさねぇは?」
「そういえばいないね‥‥‥‥というか着替えてるときにもいなかったな‥‥由南ちゃん知ってる?」
「いつの間にかいなくなってたから、知らないわね」
由南ちゃんも知らないか‥‥‥‥え!? 本当にどこ行ったの?
すると、遠くの方から手を振る人影が見えだした。
えっとあれは‥‥祈実さん?
「お~い! 皆~!」
祈実さんは水着姿でこちらに向かって走ってきている。
その姿はまるで天使のようにすばらし‥‥ダメだダメだ、祈実さんの水着姿が、まさかここまでとは思わなかったな‥‥。
でも、祈実さんなのは確定したが、いつの間に着替えたんだろう。
しかも何故か手にはイルカの浮き輪を持っていた。
‥‥何処から持ってきたんですか、そのイルカ‥‥。
「きさねぇ、何処行ってたんですか!」
「いや~遊べるものはないかなって思って、水着買った後も遊べそうなものを選んでたんだよね」
へぇ、そんなお店もあったとは。 私も見てくればよかったな。
でも本当に何でもあるな、この旅館‥‥。
「それで、そのイルカですか‥‥」
「可愛いでしょ~。 膨らませるの大変だったよ。 あ、イルカの他にも色々遊べそうなものを買っといたから、皆で遊ぼ?」
「わぁ~楽しそうですね!」
こうして私たちは祈実さんの買ってきたものを色々見ることにした。




