194 水着選び
そして私達は水着ショップで水着を選ぼうと思っていたのだが。
「種類が多過ぎて、普通に困る‥‥」
いや、選択肢が増えていいんだけどね‥‥。
「何だか選んでるだけで楽しいかも。 奈留ちゃんこれどうかな?」
「き、祈実さんならお似合いだと思います!」
「奈留ちゃん、さっきからそれしか言ってないよ~」
実際、何を着ても似合いますしね。 なんだろう、好きだった人と水着を選ぶ‥‥こんな最高なことはないよね!
「ほら奈留、これいいんじゃないかしら?」
由南ちゃんは自分の物をサッと決めてしまったようで、私の物を選んでくれている。
自分の選ぼうとしたら、由南ちゃんに全力で止められたんだよなぁ。
「ちょっと肌出すぎじゃない?」
だが、未だに決められずにいた。
なんだろう、由南ちゃんが持ってくるものは、とてもいい、とてもいいとは思うんだけど、自分が着て似合うとはどうしても思えないのである。
「これでも結構妥協してるんだけど‥‥」
「初めのビキニとそんなに変わってないよ?」
「あぁ、ホルターネックのやつ? だから少なくするために、パレオつけたのに」
「もっと、地味目でお願いします!」
兄さんが選んだときは、何だか意見を押し通された感じだったけど、由南ちゃんは私の意見も聞いてくれるから、全力で地味にしたい!
でも、由南ちゃんにも、悪いからあと少し妥協してもらったらそれにしよう‥‥。
「奈留ちゃ~ん、マイクロビキニあったっすよ! これかなり、きわどいっす!」
「えっと‥‥それ着るの?」
かなり危ないけど、なんか蕾ちゃんなら特に気にせずに、着そうな気がする。
「こんなの着ないっすよ~。 奈留ちゃん着るかなぁって」
「着ないから!」
何で勧めた!?
ありえないからね! というか、こんなのビーチで着る人とか、たぶんいないから!
でも、いつもこんなこと言ってくるの兄さんなのに今日は静かっていうか‥‥。
「はなせ、磨北弟! 俺は選ぶ使命があるんだ!」
「駄目ですよ、陸さん! というか、奈留さんの水着よりも、まず自分の水着選んでください!」
全力で信くんが押さえ込んでてくれたのね。
ありがとう、流石は信くんだね。
「信くん楽しそうだねぇ。 お姉さんとしてここは私もまぜてもらわないと!」
いえ、祈実さん、別にあれは楽しく遊んでる訳じゃないと思いますよ?
「陸~、モテそうな水着を発見したぞ~!」
「ビーチに人いないのにモテるモテないとか関係ないだろ。 あとたぶん水着でモテるとかないんじゃないか? 広葉は」
「ぐふっ! 精神的ダメージが‥‥」
水着選んでるだけなのに、皆テンション高いというか、凄いね。
私も早く水着選ばないとなぁ。
あ、信くんはもう、選んだのかな?
どんなの選んだのかなぁ‥‥。
「奈留~、これは?」
「あー‥‥うん。 それでいいよ‥‥‥‥ん?」
え? 由南ちゃん‥‥。
「じゃあこれで決まりね」
あ、ちゃんと確かめないで、いいって言っちゃった!
ま、まぁ次はいいっていうつもりだったし、由南ちゃんだからそんなに酷いのは選んでないだろうし、大丈夫かな。
そのあと試着をして、自分でもいいと言ってしまったので、私はその水着にすることにした。




