192 眠気
部屋に戻ると、まだ、蕾ちゃんの寝息が聞こえてくる。
「にゃむ‥‥‥」
ぐっすりだね、まぁ、昨日は用事あったって言ってたし、頑張って疲れているのだろう。
この場所に来るのにも色々と大変だったと思うし。
ここはゆっくり寝かせてあげよう‥‥。
「起きなさい!」
ガバッ!
えぇ、由南ちゃん、起こしちゃうの!?
しかも、そんなに力強く!
「‥‥‥‥あれ~? 由南ちゃんが何で私の部屋に‥‥? はっ! これは夢っすね! 由南ちゃん、焼きそばパン、買って───」
「なにパシらせようとしてるのよ」
というか、蕾ちゃん、もう完全に起きてるよね。
「ふぁ~。 まだ寝足りないっすよ‥‥‥‥でもまぁ、起きるっす‥‥おはよ~、二人とも。 起きるの早いっすね」
蕾ちゃんはまだ眠たいのか、頭がふらふらしている。
「おはよう、蕾ちゃん。 起きるの早いって、これでも私が起きてから結構時間が経ったんだけどね」
海に行ったりとかしてたからね。
「化け物っすね! 私には絶対無理っす、尊敬します!」
いや、早く起きられるだけで化け物は流石に酷くない!?
「朝起きられる人は起きられるからね! 私の場合、朝食作る時間に起きちゃったというか。 癖が出ちゃったみたい」
「あー本当に奈留ちゃんが一家に一台あればいいのになぁ。 そしたら私学校の遅刻ゼロになるっすよ! 私、ちょこちょこ遅刻するんっすよね~」
いや、別に私は便利ロボットでもメイドさんでもないからね。
あと一台って、完全にロボットだと思っていらっしゃるのかな?
蕾ちゃん、遅刻してそうだもんなぁ、朝起きられずに‥‥。
「遅刻しないために、目覚まし時計とかないの?」
「目覚ましだと、逆に頑張って寝ようとするんっすよね。 何だろう対抗心というか、こんな雑音ごときに、私の睡眠は止められないぜ! みたいな?」
「いや、普通はそうはならないからね」
何ですか、目覚まし時計に対抗心って。
逆に体力使うんじゃないだろうか、そういう行為‥‥。
「まぁ、何となくわからないでもないわね。 例えて言うならばあれでしょ? 人気のあるものをすすめられると逆に見たくなくなるみたいな」
「お~まさにそれっすよ、由南ちゃん凄いっすね」
なにその、あまのじゃくのようなことは。
あとなんかその例え、少し違うような‥‥。
でも、そうなると本当に起きられる手段ってないんじゃないのか?
「まぁ、今日は起きれたんだし、学校のときはまたそのときいい方法を考えよう」
「そうっすね。 今は旅行を全力で楽しまないとっすね。 じゃあこれからどうするっすか?」
「兄さんたちの部屋にいってみますか?」
こうして私たち三人は兄さんと広葉の部屋に向かった。
起きてるといいんだけど‥‥兄さんも朝苦手なんだよなぁ。