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188 は、恥ずかしい‥‥!

最後、少しだけ信くん視点です。

「でも、どうして気づいたの? 僕、なりきれてなかったかな?」


 いや、この旅行がなかったら、絶対に気が付かなかったかな。

 ただ、昼間の温泉の時に何となくね。


「ううん、そうじゃないんだけど、私と似てるなって思ったら、なんだかそう思えてきたというか‥‥」


「えっと‥‥じゃあ奈留なるさんも‥‥もしかして?」


 あ、しんくんも私が元々男だったっていうことに気付いたみたいだ。

 必然的にそうなるよね、まぁ、覚悟はしてたし大丈夫だけど。


「うん、しんくんの思う通りだと思うよ。 体と中身の性別が逆なんだ」


「そっか‥‥でも奈留なるさんが言わないと確信が持てなかったぐらい、女の子だね」


 それは前世を含めて、男っぽくないっていう意味ですか!‥‥いや、別にいいんだけどね。 悪いことじゃないし、そもそも、しんくんは私の前世知らないし!


「えっと‥‥それ誉めてる?」


「うん、凄いと思う。 可愛いし」


「あ、ありがとうございます‥‥」


 なんだかしんくんに誉められると嬉しいけど複雑‥‥。


「でも、今回は奈留なるさんが転生してるって時よりも驚いたな。 正直これ以上の秘密は今後、ないことを祈るよ。 何だか関係が変わりそうだからね」


 せっかく仲良くなれているのに、前世がどうだからという理由で関係は壊したくないもんね。


「そうだね。 あ、今回のことも前みたいに特に気にしないってことでいいの?」


「うん、そうだね。 意識しても仕方ないし、いつも通り、僕は男、奈留なるさんは女の子という事でいいと思うよ」


 まぁ、実際のところ、しんくんの前だけ男って訳にもいかないし、それにもう女の子として生活している私は男の子をやれと言われても、たぶん前世のままというのはできないだろう。

 それくらい今のこの姿でいる時間が長いわけで。


 たぶんしんくんもそうなんだろうと思う。

 前世の自分はいるけれど、別に今の自分が偽物って訳でもない。

 今、生活をしてるのは、今世の自分だから。

 いや、前世と今世が混じりあったような感じかもしれないな。


 同じような人に会えて嬉しいっていうのはある。

 でも友達なのは変わらないし。


「じゃあ、改めて、これからもよろしくね、しんくん」


「うん。 よろしく」


 改めて、私達は友情を確かめ合うように、握手をした。


「じゃあ、しんくん。 ここは温泉なんだし、背中流してあげるよ」


「えっ!? いや、奈留なるさん流石にそれは」


 なんだか、温泉に入ってから初めてしんくんが凄く慌てたような気がする。

 私はしんくんの腕を引っ張っていた。


「いいからいいからっと、うわっ!」


 運悪く、私は足を滑らせてしまった。

 転けちゃう!


 私は突然のことに何もできず、目をつぶった。


奈留なるさん!」




 私は転けたことで、体のあちこちが痛く‥‥あれ、痛くない?

 というか、転けてない?


「大丈夫? 奈留なるさん」


 いつの間にかしんくんが私の体を支えてくれていたみたいで、私は転ばずに済んだみたいだ。


「ありがとう、しんく‥‥ん?」


 お礼を言おうとして、私はあることに気がついた。

 とっさに支えてくれたからか、しんくんの手が、私の胸に触れているいるということに‥‥‥‥ふぇ!?

 しんくんに‥‥触られてる!?


 私は急な恥ずかしさで、心臓の鼓動が速くなっているのを感じた。

 今までこんなことなかったのに‥‥!

 ぜ、絶対に顔も赤くなってると思う‥‥。


 でも、大丈夫、彼は女の子、彼は女の子‥‥‥‥。


「あ、ごめん、奈留なるさん」


「いや、大丈夫だよ‥‥大丈夫‥‥‥‥‥‥うん、ごめんなさい、やっぱり全然大丈夫じゃないかも!」


 私は逃げるように、温泉から出ていった。

 は、恥ずかしい‥‥!




 ◇◆◇◆◇◆




 まずい、そう思ったときには、奈留なるさんは逃げるように温泉から出ていった。


「わざとじゃないとはいえ、僕はなんてことを‥‥。 でもあんなに恥ずかしがるって‥‥やっぱり、今の奈留なるさんって、今は根っから女の子なんだね‥‥いや、今はそんなことより。 ごめん! 奈留なるさん、奈留なるさ──ん!!」


 そんな僕の謝罪は誰に届くわけでもなく、温泉に響き渡った。

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