183 寝るときは一緒だよ?
「じゃあ、おやすみなさい」
晩ごはんのあと、皆で兄さんと広葉の部屋に集まり、色々遊んでいたのだが、そろそろ時間も遅くなってきたので、私は自分の部屋に戻ろうとしていた。
「奈留ちゃん、おやすみ。 明日の朝もここ集合でよろしく~」
「はい、わかりました森田さん」
明日は何をするのか、楽しみだなぁ。
「おやすみ、奈留。 寂しくなったらいつでも来ていいからな」
「うん、たぶんないと思うから大丈夫」
そもそも、布団二つなのに私行けないよ。
「何だろう、この気持ちが、成長した子供に親が感じる感情なのかもしれないな‥‥」
「お前、兄だろ」
いや、そもそも普段でも一緒に寝てないからね。
「あはは‥‥それでは明日‥‥」
私は由南ちゃん達と一緒に廊下に出た。
祈実さんたちの部屋はそこからすぐだったので、廊下で別れることになった。
「じゃあ奈留ちゃん、また明日ね。 行こ、信くん」
「ちょっと待ってよ、きさねぇ。 おやすみ、奈留さん」
「うん、明日‥‥」
こうして、一緒にいる人は由南ちゃんと蕾ちゃんだけになった。
盛り上がったあとだからか、何だか少し寂しい気持ちになるね。
「じゃあ、奈留。 私達も行きましょう」
「そうだね」
「今日はくたくたなので、すぐ寝ちゃいそうっすね」
そういって、私達は自分の部屋の前まで来た。
三人で‥‥‥‥え?
「あれ? そういえば、蕾ちゃんの部屋は?」
後から来たので、蕾ちゃんの部屋は、どこなんだろう。
というか、一人で泊まるのか‥‥まぁ、いつも独り暮らししてるし、問題ないのかもしれない。
「部屋っすか? ここっすよ」
そういって桜の間を指差している。
あれ‥‥私達の部屋ってこと?
「蔭道さん、同じ部屋にしたんだ。 まぁ、大勢の方が楽しいかもね」
「そうっすよ。 旅行でひとりぼっちの部屋は寂しいっす」
そうだよね。
独り暮らししてるから大丈夫なのかも、なんて思っちゃったけど、ひとりは寂しいよね、わかるよその気持ち。
「うんうん、そうだね。 一緒の部屋の方が楽しいよね」
「でも、ひとつの部屋に布団二つしかないわよ?」
あ、そういえばそうだね。 どうしよう‥‥。
◇◆◇◆◇◆
布団が二つしかない。
そうなれば、必然的に一緒に寝る、ということになるわけだけど‥‥。
「ねぇ、蕾ちゃん、由南ちゃん、なんでそんなにくっついてくるの?」
話し合いの結果、二つの布団で、三人が川の字で寝ることになったわけだが、私が真ん中になってしまった。
それだけならまだいいんだけど、何故か二人とも凄く近づいてくる。
「だって、離れたら掛け布団が、奈留の方までいかないでしょ」
ま、まぁ、そうだけど‥‥。
「私は抱き付きたかったからっすけど?」
いや、なんでそうなるのさ!
私を抱き枕かなにかと勘違いなさってるのかな!?
「でも二人とも凄く顔近いし‥‥。 ちょっと暑いし、もう少し離れよ?」
「「嫌」」
そういって二人とも先程よりもさらに近づいてくる。
もう体が当たる距離にいるんだけど‥‥。
「じゃあおやすみ、奈留」
「奈留ちゃん、おやすみっす~」
「も~二人とも~!」