表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
183/780

180 何だか似てる‥‥

 温泉から出た私は、ロビーのところでぶらぶらと歩いていると、しんくんが向こうの方の椅子に座っているのを見つける。

 私は暇だったので、何となく近づいてしんくんの隣に座った。

 しんくんは私が近づいていたのを気づいていなかったのか、少し驚いた様子だった。


しんくん、もう温泉から出たの? 早いね」


 私も結構早く出たと思うんだけど。


「あ、奈留なるさん。 ううん、温泉は僕は入ってないんだ。 入る気分じゃなかったというか‥‥」


「そうなんだ。 でも、温泉スッゴい良かったよ。 まぁ、私すぐ出ちゃったけど」


「僕も入りたくなったら入ることにするよ。 でも、温泉なんて久々だなぁ。 あまり入ることなかったから。 前世で入ったぐらいかな?」


 私と同じだ。

 私の場合は機会はあったが、大人数いるので、中々入ろうとは思わなかったからだが‥‥。


「家族で旅行とかは?」


「今世は結構あるけど、部屋についているお風呂を使うことが多いかな‥‥まぁ、だから今回の旅行で、人が誰もいない温泉に浸かることが何だか楽しみでもあるかな」


 へぇ、しんくんもなんだ‥‥人にあまり見られたくないから、とかかな?


「でも、前世では入ったんだよね?」


「うん、でも家族でっていうのだったら、最後は小学生の頃ぐらいかな? だから温泉なんて、全然入ってないよ」


「へぇ‥‥というか私から聞いちゃったけど、前世のこと喋っちゃって大丈夫? 曖昧にしなくて」


 前世のことがわかったときに、曖昧にしておこうって言ってたから、そんなに言ってくれるんだ、って少し驚いた。


「隠すようなことじゃないし、大丈夫だよ」


 ま、まぁそうだね、それでわかることは家族仲が良かったんだろうなぁ、ということぐらいだ。


 そのあとも、しんくんと何気ない話をしていると、遠くの方から何やら誰かを呼ぶ声が。


「お~い、磨北まきた弟~!」


 あれ、兄さんの声?

 て言うか、なんでしんくんを呼んでるの?


「どうしました?」


広葉こうようと我慢比べをしてたんだが、広葉こうようのぼせちまってさ‥‥ちょっと一緒に部屋まで運んでくれないか?」


「いや、でも僕‥‥」


 しんくん、なんか戸惑ってるな‥‥どうしたんだろう。


「あいつ、出た瞬間は我慢してたのかもしれないが、服着たあともう無理とか言いやがって、倒れたと思ったら寝てるんだから、本当に迷惑なやつだ」


 いや、そもそも、我慢比べなんて、なんでやってるんですか‥‥。


「服‥‥着てる‥‥。 わかりました、行きましょう」


 服着てるとわかった瞬間、しんくんがホッとしたような表情をして、そしてまたいつもの顔に戻った。


「ん? あぁ、頼む。 奈留なるは水とか買っといてくれるか?」


「あ、はい。 わかりました」


 そして二人は走って行ってしまった。


 あれ、なんだろう‥‥なんだか、偶然だとは思うけど、私とちょっと似てるような気がする。

 あれ、なんか凄い違和感‥‥‥‥この違和感って一体。

 あ! まさか、しんくんって私と真逆で、元は女の子だったんじゃ‥‥‥‥ってそんなわけないか。

 お水買いに行こ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ