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番外 今世の兄視点 俺の妹

今世の兄、陸の視点です。

 俺には妹がいる。

 俺のことを一番理解してくれて、ちょっとした冗談に笑ってくれて、とても優しい妹が。

 どの表情でも、俺を幸せにしてくれる妹が。

 別に恋愛とかそういうのではないが、本当に大好きだ。


 しかし、今はこう思っているが、そう思わなかった時期もあった。

 反抗期というやつなのだろうか、その時ばかりは俺は妹が嫌いだった。

 なんでも出来る妹。

 誰にでも優しい妹。

 それだけで俺は比較された。

 どんなに努力しても、俺は妹のように優秀にはなれない。

 そう思えば思うほど、俺はそんな優秀な妹が嫌いになっていった。


 それでも、どんなことを言おうが、妹は笑顔で俺を見ていてくれた。

 俺が、とあることで挫折したときも、一緒にいてくれた。

 こんな俺をカッコいい兄だと言ってくれた。

 俺は何を目指していたんだろうと、その時思った。


 妹と比べられたからそれがなんだ。

 俺は別に周りに認められるなんてどうでもいい。

 それなのに何故周りの目なんか気にしなければならないんだろう。

 何かが吹っ切れた気がした。

 そこからだろう、俺の世界は妹を中心に回りだした。



 妹の笑顔が見れるだけで俺はそれでいい。

 妹が苦手としていることが、もしあるなら俺が代わりにしようと。

 どんなことがあっても俺は妹の味方になろうと。

 妹が望むならどんな俺にでもなろうと‥‥。



 妹が小さい頃、こんなことをいってたことがある。


『私、お兄ちゃんの理想の妹になってみせるよ!』


 昔のことだから今は分からないが、妹が目指したように、俺は奈留の理想の兄になりたくなった。

 妹が人生を楽しめるように。


 こんなこと誰かに話したらシスコンだって、バカにされるかもしれない。

 でも俺はそれで、かまわない。

 俺は妹のために生きているんだから。




 ◆◇◆◇◆◇




「兄さん、どこー?」


 最近の楽しみは、少し奈留を困らせること。

 主に買い物に行った時にやることが多い。

 自分でも子供っぽいとは思うが、困った顔や戸惑った顔がなんだかとても可愛いのだ。


「わ!」


「きゃっ! もぅ!兄さん! 驚かすのはやめてっていつもいってるでしょ!」


 怒ってはいるのだが、妹は何故か少し楽しそうにする。

 俺が思う理想の兄妹はそうやって、冗談を言い合えるものだと思う。

 妹も同じだと俺は嬉しいのだが。


「ははっ、じゃあ家に帰ろっか奈留」


「何がじゃあだよ、全く。 本当に仕方がない兄さんだね」


 奈留は笑いながら、俺を許してくれた。


 本当に奈留は俺の理想の妹だよ。


 いつかお前にも、運命の相手が現れるかもしれない。

 俺以上にお前を笑顔に出来るやつが。

 その時来るまでは、俺がお前を笑顔にしよう。

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