176 この人か‥‥
「じゃあ、早速行こうか!」
広葉にそう言われ、乗ってきたバスの運転手さんにお礼を言いつつ、私達六人はロビーへと入っていった。
ロビーは凄く広くて、そこにも私は圧倒されていた。
ほ、本当にここに泊まっていいの?
「広い‥‥というか、めちゃくちゃ新しいね、奈留ちゃん!」
「祈実さん!? そ、そうですね‥‥」
まだオープンしていないので、人も働いている人くらいしかいないし‥‥。
ていうか、祈実さんに話かれられたことにより、また緊張が‥‥。
「きさねぇ、新しいのは当たり前だよ。 だ、だって作られたばかりでしょ?」
「そういえばそうだったね」
信くんもよく見ると少し緊張気味のようだった。
まぁ、宿泊客、今のところ私たちしか見てないし、正直緊張しちゃうのも無理はないと思う。
「なんか緊張しちゃうなぁ‥‥でも由南ちゃんはいつも通りだね」
「奈留も磨北くんも、おどおどしすぎなのよ。 別にただ来てるだけじゃない。 それより早く部屋に行きたいかな。 荷物置きたいし」
由南ちゃん、やっぱり堂々としてるね‥‥さすが‥‥。
そうして、私たち二人が緊張ぎみに、残りの四人が平然としているところ、少し遠くから、誰かを呼ぶ声が聞こえた。
「お、広!」
呼んでいる人は見たところ、まだ若いが、凄くできそうなビジネスマンって感じの人だった。
広って呼んでたよね、誰だろう‥‥あ、広葉のことかな?
ということは、まさかあの人がここのオーナーの‥‥。
「あ、雪兄」
やっぱりか。
あの人がここのオーナーで商店街の会長の息子さんか。
「よく来たな。 今日から少しだが楽しんでいけよ?」
「うん、ありがとう雪兄」
やっぱり、仲が良いようで、凄く親しく話していた。
「ご友人の皆さんもゆっくりしていってくださいね。 出来る限りのおもてなしをさしていただきますので」
急にこっちを向いたかを思えば、雰囲気や口調がいきなり変わったので、ビックリした。
「あ、ありがとうございます。 よろしくお願いします‥‥」
そういうと、オーナーさんはニコッと笑い、また広葉の方を向いた。
「雪兄ってそんな口調も出来るんだね」
「お前は俺をなんだと思ってるんだ‥‥それじゃあ、荷物とかルームキーとかは、あそこの受付に行ってくれ。 じゃあ俺は仕事があるから、またな」
「うん、ありがとう、雪兄」
そういうと、オーナーさんは関係者入り口の扉に入っていった。
凄くオーラがある人だったね‥‥。
そして、私達は言われた通り、受付に来たわけだけど‥‥。
「部屋割りどうしよっか?」
あ、そういえば、決めていなかったね。
「まぁ、じゃあ適当に‥‥」
に、兄さん、適当って‥‥。
「て、適当じゃなくて、皆で話して決めようよ! 一応八部屋最大でとれるみたいだし」
まぁ、六人に対して八部屋はは多すぎるが、まぁ後からくる小乃羽ちゃんや蕾ちゃんのことも考えておかないとね。