167 そ、その誘いは‥‥
昼休み、私は蕾ちゃんのクラスに行き、旅行のことを話した。
蕾ちゃんなら、何だかすぐ了承してくれるんじゃないかと思っていたのだが。
「奈留ちゃんと、ひーくんが行くなら、すごく行きたいっすけど。 もしかしたら予定があるかもしれないっす‥‥‥‥でもでも、途中からでもいいなら、もしかしたら行けるかもしれないっす!」
まさか、予定があるとは‥‥いや、蕾ちゃんに予定がないって思う方がおかしいのか。
‥‥もしかして、未だに広葉との強制力があって会えないとかじゃないよね?
ないと思いたい!
でも、途中からでも会えるなら嬉しいよね。
「途中からでもいいから、来てくれたら‥‥嬉しいな?」
「行くっす! 絶対行くっすよ!」
ほんと! 嬉しいなぁ♪
蕾ちゃん来たら、回りが明るくなりそうだし、いいよね。
「じゃあ、よろしくね~」
「了解っす~」
よし、じゃあ次は信くんだね。
由南ちゃん、誘ってくれているかなぁ?
◇◆◇◆◇◆
私が教室に戻ったとき、丁度、由南ちゃんが信くんと話していた。
やっぱり誘ってくれてたんだ、優しいなぁ。
どんな風に誘ってるんだろ、近づいてみよっと。
えっと‥‥何々‥‥。
「来ないと殺すわ」
「え!?」
ふぁ!?
まさかの脅迫!
「ちょっと待った、由南ちゃん! 何で殺害予告してるの!」
信くん、ビックリして固まってるよ!
「来ないという選択肢を無くそうと思って」
「いやいやおかしいから。 殺そうとするのもそうだけど、選択肢を無くそうとするのも、おかしいから!」
何で、普通に誘ってないのさ。
聞いた瞬間、私もビックリしたよ。
「えっと‥‥つまりは旅行のお誘いってことだよね?」
「あ、信くん。 そうだよ、別に由南ちゃんみたいに強制するわけじゃないからね!」
「別に強制したつもりはないわよ」
してるからね!
「で、どうかな?」
「うん、いいよ。 特に予定とかはないからね」
よし!
良かった~。 信くんは、すごく一緒にいきたかったから、嬉しいな。
あ、そうだ。 お姉さんの祈実さんはどうしよう。
「祈実さんも誘えるかな?」
「うん、多分大丈夫だと思うけど、僕から誘っておくよ」
「ありがとう、信くん!」
祈実さんと会うのは久しぶりだな~。
私の家に泊まりに来たとき以来かな?
久しぶり過ぎて、また緊張しちゃうかもしれないな。
何たって好きだった人だもんな。
好きだった人‥‥かぁ。
今、前世の祈実さんはどんな生活をしてるんだろうなぁ。
綺麗な人だから、彼氏とかいるのかもしれないな‥‥。
そうだ! 前世の方の広葉にどうだったか、聞けば‥‥‥‥いや、広葉は祈実さん知らないんだっけな?
それに、もう私には関係のない話だよね‥‥‥‥きっと。