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16 ばったり

 誰かに呼ばれたので、その方向を見てみると、そこには部活帰りに見える格好をしてる田神くんと、その友人?がいた。


「こんにちは、田神くん」


「こ、こんにちは夕闇さん」


 いつもながら緊張した様子の田神くんは、あまり私と目を合わせようとしない。

 友達なんだからもっと気兼ねなく接してくれていいんだよ?


「田神! いつから夕闇さんと仲良くなったんだよ!」


 一緒にいた田神くんの友人?が田神くんに小声で問いかけていた。


「いや色々あって‥‥」


 いや小声でも普通に聞こえてるけど。

 まぁ言いにくいことだから仕方ないよね。

 あと貴方は誰だよ!


「貴方は誰?」


「自分は坡芝鷹充はしばたかみつって言います!」


 誰だよ!

 おっといけない、兄と同じように無駄に同じ事を言いそうだった。

 ま、同じ人間なんだから少しぐらいは許されるよね。


 あと言わしていただくなら、まだ私、田神くんの下の名前知らないんだよ!

 なのになんで、友達の友達の下の名前知ることになってんだよ!


「それで、田神くん達は部活の帰り?」


「そうですよ」


「じゃあ田神くん達もお昼食べに来たんだね」


「いえ、田神がバッシュが欲しいらしくて」


 バッシュ?

 ‥‥あぁバスケットシューズのことか。

 何かの効果音かと思ったよ。


「そうなんです。 そろそろ新しいシューズが欲しくて来たんです。 ここ大きなスポーツショップもあるし便利だから」


 本当に何でも揃うなこの場所。

 もうここと家を往復してるだけで、生きていけそうだな!


「そうなんだ。 部活頑張ってるんだね。 一回、田神くんの部活してる姿見てみたくなったよ」


「ほ、ほんとですか! 是非見に来てください!」


 田神くんは、目を輝かせて、嬉しそうだった。


「何を‥‥見に来てくださいって?」


 声のする方を見るとそこにはお手洗いから帰ってきたであろう兄さんが、黒いオーラを身に纏いながら、笑顔で立っていた。

 何処かの大魔王と言われても納得してしまう笑みだね兄さん。


「え?え!?」


 田神くんとても戸惑ってるね。

 坡芝くんも兄さんの顔を見て怯えている。


「田神くん、こちらうちの兄です」


 田神くん! いつもはもっと穏やかなんです!

 トイレで何かあったのだろうか?

 田神くんにこんな兄さんを紹介するのは残念でならないね。


「よろしく。 で、君達はうちの妹とどういう関係?」


 う~ん。 田神くんは友人なんだけど坡芝くんはなぁ~。

 さっき会ったばかりだし‥‥。

 私、友達の友達は友達じゃないと思ってるからなぁ。

 まぁそういうのはいっか。


「この人たちは、学校の友人だよ兄さん」


「へーそうなんだ‥‥そうなんだ‥‥」


 今、何を考えているのかわからないけど、とても朝とは比べ物にならない位、テンションに違いがあるね!


「こんにちは、初めまして、田神っていいます!」


「坡芝です!」


「‥‥奈留の兄の陸だ。 よろしく」


「じ、じゃあ僕らこれで失礼します!」


「ま、また」


 慌てた様子で田神くん達は去っていった。

 ん~もう少し話をしたかったんだけどなぁ。


「奈留、帰ろっか」


「え? 服見るんじゃないの?」


 あんなに見たいって行ってたのに‥‥。


「まぁそれは今度でいいじゃん。 ‥‥今日はもう会う可能性をなくすために‥‥」


 兄さんは笑顔でそう答えた。

 後半は余り聞き取れなかったけど‥‥。

 兄さんがそういうなら‥‥。


「兄さんがいいならそれでいいけど」


「おう」


 その後お家に帰った私達は、特に何かすることもないので、久々に二人でだらっとしながら休日を過ごした。

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