164 接し方は相変わらずで
「えっと、つまりただ倒れただけだということですかね?」
いや、そんな疑いの目を向けなくても‥‥。
「そうです、偶然ね」
「あぁ、そういうことです」
そもそも、こんな漫画みたいな展開が起こるなんて、思わなかったからね。
でも見られたのが、詩唖先生で良かったよ。
花さんだったらどうなっていたことやら‥‥。
「う~ん‥‥わかりました。 今回は、そういうことにしておきましょう」
あ、信じてない?
今回ってたぶん今回だけだからね!
「大丈夫かな?」
「まぁ、大丈夫だろ。 ‥‥たぶん」
何だか、詩唖先生に少し誤解をされたままかもしれないが、一応、その場を切り抜けた。
◇◆◇◆◇◆
「遅かったね、何かあった?」
「それが広葉くんが「なんでもないよ蕾、あはは!」‥‥」
その反応は流石に怪しすぎないか広葉。
そういえば、詩唖先生に口止めするように言ってなかったな。
「そう‥‥ならいいけど。 じゃあ食べよっか」
誤魔化せたのか、花さんが気づかないフリをしたのか、そこのところはわからないが、花さんは特に何も言わなかった。
思った以上に花さんって大人なのかもしれないね。
色々と我慢していそう‥‥。
「食うか」
そうして、四人で昼御飯を食べ、そのあとも少しゲームをしたあと、私は帰ることにした。
◇◆◇◆◇◆
家に帰って、玄関に入ると、そこには見慣れない靴が二足あった。
あれ、誰か来てるのかな?
廊下を歩き、リビングの扉を開けると、そこには小乃羽ちゃんと、今世の方の広葉と兄さんが三人でいた。
何この組み合わせ‥‥。
「お帰り、奈留。 早かったんだな」
「まぁね」
「お邪魔しています、御姉様」
小乃羽ちゃんが、私に礼儀正しく挨拶してくる。
部活では毎日顔を合わせてはいるが、学校の外で会うのは久しぶりかもしれないな。
「こんにちは、小乃羽ちゃん。 ゆっくりしていってね」
「ありがとうございます、御姉様♪」
やっぱりいい子だなぁ。
「奈留ちゃん。 やっほ~」
「森田さん。 お帰りですか?」
何だろうな‥‥やっぱり今世の広葉にはこういう態度になってしまう。
何故だろう、反応が面白いからかな?
「帰らないから! あと出来れば俺も小乃羽ちゃんみたいに、おもてなしをしてほしい!」
いや、だって結構な頻度で来てるじゃん。
それに、せっかく兄さんに小乃羽ちゃんが会いに来たんだろうに広葉いたら二人で話せないだろう。
せっかく二人付き合ってるのに。
まぁでも別にさっきのは冗談で、私は帰ってほしいわけではないんですけどね。
それと別におもてなしも嫌なわけでもなく、逆に楽しいくらいだし。
「広葉、あまりうちの妹に無茶を言うものじゃない。 奈留が困ってるだろ」
え、無茶?
「今の発言の何処に無茶が!? そ、そりゃおもてなしは流石に言い過ぎたかもしれないけど」
「いや、そっちじゃなく、帰らないからという方だぞ」
「そっち!?」
あ、兄さんは帰ってほしかったのね。
広葉にたいしてはいつも通り冷たいですね、兄さん。
でも、兄さんも広葉は好きなはずなので、きっと冗談だと信じたい!




