159 何となく‥‥わかる‥‥
明けまして、おめでとうございます!
今年もよろしくお願いいたします!
広葉が隣にいるのに、広葉の体が隣の部屋にある‥‥何そのホラー。
いや、そうじゃなくて、隣にいるってどういうこと!?
「え、眠ってるってこと?」
「いや、そうじゃなくて、たぶん蕾と遊んでるんじゃないかなぁ」
へ!? 独りでに動いてるの!?
ホラーだよ! それ怖すぎるよ!
「あ、遊んでる!? そ、それ怪談話みたいなもの?」
「何言ってるんだお前‥‥‥‥って、そういえば、話してなかったな」
「へ? 何かあるの?」
まだ、何か話していない秘密があるのか。
「陸はさ、俺が今、夏雪詩唖先生の体を使っているが、その中身の詩唖先生は何処に行ったんだろうって、疑問に思わなかったのか?」
「あ、そういえば! ‥‥え? 広葉‥‥酷い‥‥」
まさか、詩唖先生の体を無理矢理奪うなんて‥‥。
「いやいや、違う違う! お前の考えていそうなことはわかるが、そんなことはしてないし、ちゃんと了承を貰ってるからな!」
「ほんと?」
「あぁ、それで今、その中身の方の詩唖先生はどうなっているのかというと‥‥今、俺の体を使ってる」
「あーそうなんだ、それは納得‥‥‥‥えぇ!?」
体、交換してるの!?
◇◆◇◆◇◆
ついてこいと言われ、ついていき、広葉は隣の部屋のドアを開けた。
隣の部屋に入ると、丁度そこには花さんともう一人、男の人が。
この男の人ってまさか‥‥私が知ってる広葉だ‥‥いや、少し大人になってるけど。
「あ、ひーくん」
「あれ? 広葉くん、どうしました? 今お友達と遊んでいるんじゃなかったでしたっけ‥‥‥‥って、広葉くんが女の子連れてきてる!? しかもかなり年下!?」
あ、中身は本当に詩唖先生なんだね。
何となくだけど、わかるな。
「邪魔してすまんな蕾。 あと、落ち着いてください先生。 この友達が前に言ってた人です。 というか先生、今回は事情もすべて知っている人が来ていたので大丈夫ですが、人が来たときはあまり広葉って呼ばないで欲しかったんですけど」
「あぁ、ごめんね! すっかり忘れていたよ、次から気を付けるね、広葉くん」
うん、詩唖先生だ、間違いない。
前世の時も少し頼りないような、優しいような、そんな先生だった。
というか、広葉の体で詩唖先生口調だから、なんだか違和感が凄いな。
「それで、ひーくん何か用事? お昼はまだいいと思うけど?」
「あぁ、先生に陸を紹介しようと思ってな。 ほら、説明にも限界があるだろ?」
「まぁ、確かにね」
実際見るまで、もしかしたらって言う気持ちはあったからね。
だって、そんなの先生の方が良いよって言うとは思えなかったし。
「初めまして、詩唖先生。 夕闇って言います。 今の名前は奈留です」
「夕闇さんね。 私のことは、知ってるんだろうけど一応ね。 私は夏雪詩唖。 ‥‥今は広葉くんになっちゃっているけど」
こうして、私は懐かしい人に出会うことができた。




