158 二人はどうなの?
「く、負けた‥‥。 広葉、もう一回だ!」
「あぁ、了解」
二回プレイし、二回とも瞬殺された私は、何だか熱くなり、昔の感覚がよみがえっていた。
しかし、やっぱり広葉強いなぁ。
まぁ、昔も広葉が持ってたゲームなんだから強いのは当たり前なのかもしれないが。
前世の時は少し手加減してくれてたんだなぁ。
勝つのは中々難しそうだ。
そういえば今、花さんと二人で暮らしてそうだけど、二人って付き合ってるのかな?
「そういえば、広葉、蕾さんと付き合ってるの?」
「ブッ───!? 何だ急に」
「え? そんなに驚くことかなっと‥‥あ、勝った」
「あ‥‥」
やった、これは作戦勝ち‥‥というわけではなく偶然だし、これはノーカンだね。
これで勝っても、嬉しくないしね。
また、ゲームを再開させながら、私はもう一度聞く。
「それで、どうなの?」
「‥‥どうなんだろうなぁ」
「へ? 何その曖昧な返事は」
付き合ってるのか、ないのか、わからないなんてあるのか?
そして、広葉はテレビ画面に目を向けたまま、喋りだした。
「なんか、いろんな事があって、よくわからないんだよな。 一緒に暮らしてるし、距離的には恋人以上のような気はするが、告白なんかは一切してないからな」
何その自然にこうなったみたいな言い方は。
まぁ、確かにこの前の話を聞く限り、できる時間がなかったんだろうけど。
「じゃあ今から告白しちゃえばいいんじゃない?」
今は時間はたっぷりあるわけだし。
「そうなんだよなぁ。 でも俺もあいつのことが好きなのか、まだはっきりしていないところがあってな‥‥‥‥いや、嫌いとかじゃなくて、何だか家族みたいな感じがしてさ」
あぁ、近くにいすぎてわからないってことか‥‥‥‥。
でも、何だかそれだけで広葉がこんなに、ためらっているとはなんだか思えなかった。
他の理由もあるんじゃないか、なんかそんな風に思える。
「でも、広葉がためらっている理由は、それだけじゃないでしょ?」
「言ってないのにわかるとか、エスパーかよ」
いや、別に確信があったわけじゃないんだけど。
強いていうなら、そうだな‥‥。
「親友だから、わかって当然だよ」
「あはは、そうだな。 親友だから、か‥‥」
私が広葉のことが何となくわかるように、広葉も私が隠し事なんかしたら、すぐにばれちゃうんだろうなぁ。
それだけ、一緒にいたってことだもんね。
「それで、その理由って?」
「いや、やっぱりこのままの姿で告白するのもどうかと思ってな。 ちゃんと元の森田広葉としての体で、告白した方が蕾も喜んでくれるんじゃないかってな」
あぁ、そういうことか。
花さんならあまりそんなこと気にしなさそうだけど、やっぱりその方がいいだろうしね。
‥‥‥‥あれ? そういえば、変わる前の広葉の体って今何処にあるんだろう。
いや、何処かに眠ったままの状態であるってわけじゃないよね?
「広葉。 そういえばなんだけど、本当の広葉の体って今どうしてるの?」
「ん? 隣の部屋にいるぞ」
‥‥‥‥え、隣にいるの!?




