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156 多いですよ!

「くっ、まさか逃げられるとは‥‥」


「もっと言ってほしかったっす‥‥」


 二人とも、そんな、床に膝をつくほど、落ち込まなくても。


「盛り上がってらしたんですね。 そんなによかったですかね、メイド服?」


 自分だからか、鏡で見たときは何だか着られてる感が凄かったんだけど。


「やっぱり奈留なるちゃんは最高っすよ。 ね、蓮佳れんかさん」


「うむ、目の保養になったよ」


 というか、まだ出会ってそんなに時間経ってないのに、蓮佳れんかさんとつぼみちゃん、意気投合しすぎじゃない?


「そんなことより、蓮佳れんか。 お前仕事は?」


「ケーキ作ったよ? ほら」


 そういって、私達のテーブルに、たくさんのケーキが並べられる。

 それはもうテーブルが埋め尽くされるほど沢山。

 いや、こんなに食べられない‥‥というか、こんな光景前にも見たな。

 由南ゆなちゃんの家で。


「これは作りすぎじゃないのか?」


「女の子はこれぐらい普通に食べちゃえるんだよ。 ね、沢山食べてね♪」


 好きって言っても、流石にこの量は‥‥。


「これが普通‥‥‥‥そ、そういうものなのか‥‥」


 騙されちゃいけませんよ、マスター!

 たぶんこれだけ食べられるのは、蓮佳れんかさんだけです!


 うん、まさかこんなことになるなんて、誰が想像しただろう。

 私と由南ゆなちゃんとつぼみちゃんでこの量は流石にきついんじゃないだろうか。

 前にも言ったが、女性には別腹が存在しても、私にはまだその別腹という消化器官は存在していない。


「すみません、私、甘いものが苦手なので、遠慮させてもらいます。 力になれなくて、ごめん奈留なる


 そうだったー!

 そういえば、由南ゆなちゃん甘いものダメだった!


奈留なるちゃん、でも美味しそうっすよ? これは何個でもいけるパターンのケーキっすよ!」


 そう言って、つぼみちゃんはケーキを食べ進める。

 お、ここに頼りになる、女の子が!

 ありがとう、つぼみちゃん。 今あなたが女神様に見えるよ。


「前に来たときに、凄く美味しかったのは知ってるんだけどね、でもやっぱりこの量はね‥‥」


「‥‥ギブっす」


「はや!?」


 つぼみちゃん、まだ一切れしか食べてないよ!

 まさか胃袋がそこまで小さいとは思ってなかったよ!?


蓮佳れんか、どうみても多くないか?」


「えー、私だったら食べれるよ?」


「やっぱり、お前基準かよ!?」


 そして、蓮佳れんかさんはマスターに、こっぴどく怒られ、その後五人で、一緒に楽しくケーキを食べた。

 やっぱりと言っていいか何というか、蓮佳れんかさんの食べる速度は凄く早かった。

 甘党って皆こんなに早いのかな‥‥。


 この後、マスターと蓮佳れんかさんにまた来る約束をして、その日は帰った。

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