154 お詫びも兼ねて
土曜になり、すっかり熱が下がった私は、金曜日に職業体験に行けなかったので、申し訳ないもいう気持ちも込めて、カフェに来ていた。
由南ちゃんと蕾ちゃんと共に‥‥?
「えぇ! 休んだとか気にしないでいいのに。 熱だったんでしょ? 大丈夫?」
「蓮佳さん。 はい、もう熱は下がったんですけど、やっぱり休んだのが急だったんで申し訳なくて」
「あはは、そんなの大丈夫だよ。 仕事は全部、隆がやってたから」
マスター! すみません!
少しでも負担を減らせなくて!
「その時、蓮佳さんは何してたんですか?」
「寝てたね」
「あ‥‥そうですか」
うん、まぁそうだと思ってたけどね。
「ねぇ、奈留。 この人は?」
あ、由南ちゃん達にちゃんと言ってなかったな。
「こちら、カフェのマスターの奥さんでパティシエの夜郷蓮佳さんです」
「なんだか、大人の女性って感じっすね」
えぇ、蕾ちゃん、外見はね? うん、外見はできる女性って感じがするよね。
「うん、いい人だよ」
優しい人ではあるからね。
「夕闇ちゃんのお友達かな? 蓮佳です、よろしくね」
「灘実由南です。 奈留さんがお世話になっていたみたいで、ありがとうございます」
由南ちゃん、別にそんなに固くならなくてもいいんだよ?
なんだか、私の親みたいになってるし‥‥。
「蔭道蕾っす~。 ごくごく‥‥ぷはぁ、コーヒーうまいっす!」
蕾ちゃんいつの間にコーヒー注文したの!?
いや、良いんだけどね。
何か色々違うとはいえ、この子が、花さんみたいな感じになるとは想像できないな。
花さんは、一応大人っぽかったもんね。
「灘実ちゃんと、蔭道ちゃんだね。 何だか面白そうな子達だね」
えぇ、面白いですよ、蓮佳さんもだけどね。
「そうですね。 あ、それで、今日は昨日のお詫びもかねて、出来ることがあればしたいなと思って来たんですが‥‥」
すっかり、今日来た理由を忘れるところでした。
「そうなんだぁ、でも中学生に体験という名目がなく働かせるのはダメだと思うし‥‥」
「お詫びなので何でもいいですよ?」
働けなくても、手伝いや、何か出来ると思うし。
「何でも!? じゃあ私と結婚を」
いや、それ不可能‥‥。
「マスターがいるのに何言ってるんですか」
「冗談だよ、冗談。 じゃあ着替えに行こっか?」
あ、やっぱり仕事を手伝わしてくれるのかな?
エプロンの制服に着替えて、作業してってことだよね。
よし、頑張らないと!
◇◆◇◆◇◆
「‥‥‥‥えっと、着替えましたけど、何これ?」
ロッカー室に行ったら、これしかないし、いきなり着替えさせられたんだが‥‥。
いや、別に嫌というわけでもないんだけど。
「何って、メイド服だよん♪」
何故か今私はメイド服を着せられていた。
 




