153 いつもとは違い‥‥
今は信くんと二人きり‥‥、なにかしゃべった方がいいのかな?
いやでも何故だか、少し緊張する。
「ごめんね、特に何もおもてなしできなくて」
「いや、そんなの気にしなくていいよ。 というか、僕の方こそ、何だか男なのに部屋に上がり込んだりして、申し訳ないというか」
あ、男の子の目線から言ったりそうなるのか。
私も元男だったし特に嫌って訳ではないけど。
でも、少し恥ずかしいかな‥‥。
「全然いいんだけど‥‥見られるのは少し恥ずかしいかな」
だって、部屋着みたいなものだし‥‥。
「あ、ごめん。 あまり見ないようにするよ」
「いや、信くんなら‥‥いいよ」
信くんは友達だからね。
知らない人に見られるのは何だか嫌だけど、友達なら問題はない。
「う、うん」
そういえば、私の方の謎の人が広葉だったって言っておいた方がいいよね。
わかったら、連絡するって前に言っていたのに、してないし。
「あ、信くん。 そういえば、転生者みたいな人と昨日会ったんだ」
「え、本当!? どんな人だった?」
どんな人‥‥親友なんだけど、信くんが聞いているのはそういうことじゃないよね。
「ん~、優しい人だったよ」
「そうなんだ。 じゃあ僕の電話のことを何か言ってなかった?」
「ううん、森田さんの方はその人だったんだけど、電話の人は別の人みたい」
「え‥‥じゃあ他にもいるってことなのか‥‥」
信くんも流石にそこまでいると思ってなかったのか、驚いた表情をしていた。
「その電話の人って、なにか特徴みたいなのなかったの?」
「う~ん、声を変えていたみたいだから、性別もわからないし」
本当に隠しているみたい。
でも、信くんもそうだけど、成長した蕾さん、またの名を花さんが見つけようとして見つけられないってことは、相当隠れるのがうまいんだろうな。
蕾さんなら何か見つける発明品作っちゃいそうなのに。
あまり気にならないと思ってたけど、こうして話してみると少し気になってきたな。
「よし、今から調査をしに───」
「どこにいくつもりなの、奈留?」
あ。
「由南ちゃん!? いや、由南ちゃん遅かったから、見に行こうかなぁ~って」
「へぇ~‥‥嘘ね。 それに、そもそも、寝てなさいって言ったのに見に行くという言い訳もどうかと思うわよ」
「あはは、ですよね」
ふぅ、もうおとなしく寝ていよう。
◇◆◇◆◇◆
夜になると、昼間に強制的に寝させられたせいか、体の疲れが全くなくなり、何時もと変わらない生活に戻るとこができた。
それで、晩御飯は私が作っているのだが‥‥。
「やっぱり、奈留のご飯が一番うまい」
「というか兄さん、料理普通に出来るならたまにで良いのでやってくださいよ。 今日の料理も普通に美味しかったし」
「誉めてもらえるのは嬉しいが、あれは病人食であって、普通の状態の時に食べるものではないんだ!」
まぁ、確かに健康状態の時に食べるのは珍しいかもしれないけど。
でも、料理は料理でしょ!
「いえ、そんなこと全くないと思いますが。 普通の時でも食べられますし」
「まぁ、今回みたいに無茶して熱がでたら困るしな、じゃあ手伝うくらいなら、やってもいいぞ」
本当に!?
明日は休みだし、早速‥‥いや、明日はカフェを休んだので、マスターと蓮佳さんに会ってお休みしたことを謝っておかないと。
でも兄さんと料理‥‥楽しみだなぁ。




