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150 何時もと違う朝

 朝、何時もと同じ時間に起きると、どうも寒気がする。

 何だろう、別に何時もと変わらない気温のはずなのに‥‥。


「まぁ、いいや。 朝食作らないとね‥‥っと、おっとっと」


 あれ、立つのって、いつもこんなにふらついたっけ?

 視界がぼやける‥‥。

 まだ、寝ぼけてるのかなぁ。


「まだ寝足りないのかなぁ。 へくッ!」


 くしゃみが‥‥う~ん、少し埃っぽいのか?

 あとで、掃除もしないとなぁ。


 でも、今は朝食に‥‥あれ、足からまって。


 ────バタンっ!


 痛った~!

 まさか自分の足につまずくとは‥‥。

 昨日色々あって、やっぱり疲れているのかも。


 起きないと‥‥んっ!

 ‥‥‥‥力が出ない。

 何だろう、この感覚。


奈留なる~、今日は自分で起きたぞ~! そんな兄に何かご褒美を‥‥」


 扉から兄さんが入ってくる。

 兄さん、自分で起きたんだ。


 あぁ、そういえば、まだ着替えてない‥‥。

 起き上がれないし、何だか体も重たい。


「はぁ、はぁ、兄さん‥‥おはよう?」


奈留なる─────!?」




 ◇◆◇◆◇◆




「熱だな。 それも三十九度丁度だ。 たぶん疲労で来た熱だと思うが、よくその高熱で熱だってわからなかったな」


 まさか自分が熱を引くとは‥‥。

 そこまで多く、風邪になったことがなかったので、風邪には強いと思っていたんだが。

 久々すぎて、これが熱だって感覚を忘れていたみたいだ。


 今は兄さんに抱えられてベッドの上に、横になっている。


「ごめんね、兄さん。 朝食まだ作ってなくて‥‥」


「何言ってるんだ、こんな状態の妹に無理はさせられるわけないだろ。 今日は俺がご飯作るよ。 だからゆっくり休め」


「でも兄さん、あまり料理しないど、大丈夫‥‥?」


 何度か作っているところは見たことはあるが、それはもう昔のこと。

 兄さんが最近、作ってるのを見たのは、カップ麺にお湯を注いでいるときぐらいだ。

 いや、あれは作ってるって言わないんだっけ?


「任せろ! 奈留なるがもし風邪を引いたときのために、ありとあらゆる病人食をマスターしておいた。 だから、調理実習の時に、みんながパスタを作っている間に、お粥とか作っていた」


 おい、そこはパスタ作れよ!

 そして、家でパスタを作ってるときに手伝ってよ。


 あと、たぶんその技術あるなら、普通の料理も作れるよね?


「なんか納得できないところはたくさんあったけど‥‥ありがとう、兄さん‥‥」


「少し待ってろよ」


 はぁ、何だか少し悪化したような気がする‥‥。

 さっきより辛いし、体が重い‥‥あと頭が痛い。


 でも、何だかんだいって、兄さんやっぱり優しいなぁ。

 やっばり、人がいてくれるのと、いてくれないのでは話が変わってくるもんね。

 前世で、風邪を引いたときもあまり看病なんてされたことないような気がする。

 いや、でもなんかそのとき何か‥‥。


 あー考えると頭がさらに痛く‥‥。

 少し、目をつむるか。



奈留なる、出来たぞ」


「あ、兄さんありがとう‥‥‥‥えっと‥‥何?」


「食べさせてあげようかと」


 いらん! そんな子供じゃないよ!

 いや、恥ずかしいだけで、別にしたいならしてくれても‥‥。


「でも兄さん、私学校とカフェに連絡しなくちゃならないから、ご飯は後で」


「俺がするよ。 奈留なるはご飯食べて、寝てろ」


「うん‥‥ごめんね、兄さん」


「気にするな。 妹が熱を出したら、看病するのが兄の仕事だ。 だから学校も休む」


 途中まではよかったのに、最後!


「‥‥いや、行って下さい」


「まぁ‥‥そうだよな、俺がいたら眠れないだろうしな。 学校に行かないと、弱って何時もと違う可愛さがある妹を、いつまでもここで見ていそうだし。 ‥‥準備してくる」


 そんな理由で休んだら、笑われるよ。

 こうして、兄さんは部屋を出ていった。


 一人になった部屋は何時もと違い、何だか寂しく感じる。

 熱の時って、心細くなるのかな‥‥。

 ふぅ、でも暑くなってきたし、何だか疲れているのか眠く‥‥‥‥。

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