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144 あの頃の俺は(7)

森田広葉くん視点です!

 タイムマシンが完成してから、一日が経った。


 俺はいつもとは違い、気持ちの良い朝を迎えていた。


 昨日はお墓参りを終えた後、特に何かすることもなく、ベッドに入ったのだが、久々によく眠れた。

 もうすぐりくと、また会うことができるから、安心して眠れたからかもしれない。

 隣で眠っているこいつのおかげではないと思いたい。


 何だかつぼみの寝顔を見てると無性にイライラしてきたな‥‥。

 ‥‥‥‥頬っぺたでもつねろう。


「スゥ‥‥スゥ‥‥───ぶぇ!?」


「あ、起きた」


「あ、起きた、じゃないよ! 痛いよ! ひーくん!」


 少し力加減を間違えたかもな。

 喋れないぐらいに強くした方がよかったかもしれない。


「いつまでも寝てるからだ」


「ひーくんだってさっき起きたばっかりのくせに‥‥寝癖凄いよ?」


 まぁ、寝癖なんて、別に気にならんけどな。

 でも言わなくていいことを言われたのは、何だか気に障ったな。

 何か言い返してやりたいが‥‥つぼみを貶す部分が全然見つからない。


「こんなのすぐ直るだろ。 お前は‥‥‥‥頬っぺた赤いぞ」


「ひーくんのせいでしょ!」


 まぁ、冗談だが‥‥。

 でも、そんな冗談が言えるほど、今日は清々しい朝だった。




 ◇◆◇◆◇◆




「はぁ!? 大学をやめたってどうゆうことだ‥‥」


 二人で朝食をとっていると、いきなりつぼみが大学をやめたと言い出したのだ。


「う~ん、何かもういいかなって思って‥‥。 そもそも、ひーくんも全然行かないし、行く意味なかったんだもん」


 もん、ってお前‥‥。

 でも、言われてみれば、つぼみが行く必要はないのか?

 今でも何も困ってなさそうだもんな。


「あぁ、じゃあ俺も大学やめようかな」


「いえいえ、ひーくんは続けていてください。 ひーくんが将来出稼ぎに行って、私は専業主婦をするつもりなんですから。 大学は出ておいて損はないですよ」


 まぁ、せっかく三年になったのに勿体ない気はするが‥‥。

 ん? それよりなんかおかしいな‥‥って!


「なんで結婚する前提なんだよ! そもそも専業主婦ってお前、料理は?」


「全然できないですけど?」


「ダメじゃねーか!」


 今朝の朝食も俺が作ってるし。

 俺が来る前まで、カップ麺ばっかり食べていたのを俺は知っているぞ!


「まぁ、ということで今日から大学へは行かなくていいので、早速今日から、付きっきりでタイムマシンの試運転を見ていられますよ」


 まぁ、それはありがたいことではあるな。

 そもそも、つぼみがいない時間に試運転するつもりはなかった。

 教えてもらって自分で作ったといっても、結局はつぼみの助けを大部分借りたし、もし、予想外のことが起きて、俺が対処できるとはどうしても思えなかったからな。


「あぁ、つぼみがいるなら、今からでも始めても大丈夫だな。 でも、こういうのってどうやって試運転なんてするんだ?」


 どうしても自分ではこれがちゃんと安全に作動するのかわからなかったし、確かめようもなかった。

 何か物を入れて確かめるとかそういうのか?


「設計図通りの構造になってますし、起動するか確かめたり、最終確認もさっき終わらせました。 う~ん、もう乗っちゃいましょっか?」


「いいのかそれで!?」


「危険な発明品は色々とありましたが、タイムマシンの場合は大丈夫ですよ。 タイムマシンの失敗は不具合で起動せず、過去に戻らないってだけで、死ぬことはないですから。 それに、戻る時間は二時間くらいにすればたぶん、失敗せずに、どういう欠点があるかわかるはずです」


 まぁ、危険がないならそれでもいいが‥‥。


 でも危険な発明品って‥‥‥‥今考えたら、つぼみはいつもは一人で作ってるから、基本的に自分を使って実験するしかないよな。

 やっぱり天才も努力をしているんだと実感する‥‥。


「あまり、無茶なことはするなよ?」


「無茶ではないと思うんですが‥‥。 まぁ私もここからは未知の体験なので、少しワクワクしているところではありますが、早速行きましょうか。 二時間前、私達が眠っていた時間に」


 そうだ、ここから気を引き締めて、いかないとな。

 そうして俺達は、タイムマシンに乗り込んだ。

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