140 あの頃の俺は(3)
「はい、わかりました。 でもひーくんがそこまで興味を持ってくれるなんて嬉しい限りです!」
ふぅ、先ほどまでの笑顔に戻ってくれたようだ。
こいつの、俺と他との態度の違いってなんなんだ。
慕ってるっぽい俺が言っても変わらないしな‥‥。
でも、今はその条件って方も気になるな。
「それで、どうやったら、その機能を使えるんだ?」
「ひーくん、使ってみたいんですか?」
「いや、面白そうではあるが、俺は遠慮しとく。 替わる体もないだろ?」
そんな、成功するかもわからないしな。
蕾の発明品を信用してないわけではないが、未知のものは手を出しにくい。
「ここにあるじゃないですか♪」
「お前じゃ、もしものとき駄目だろ。 それに条件満たしているかわからないし」
「そうかもですね。 では早速‥‥この機能の条件は二つです。 一つは、歳が上下三歳以内ということです」
三歳なら蕾とでもいけるってことか‥‥いや、しないけどな。
「三歳なのは理由があるのか?」
「年齢が違いすぎると、急激な成長や老化など、正反対なことで、失敗する可能性が高いですからね。 同じくらいの年齢じゃないと。 なので、ギリギリ三歳までです」
さすがにおじいちゃんが子供に‥‥ということはできないみたいだ。
そりゃそうだな。
「安全面を考慮してってことか‥‥じゃああと一つは?」
「それともう一つ、相性が良いことです。 それさえ満たせれば使うことが可能です」
歳は理解できるが、相性ってなんだ?
「そんなのわからなくないか? そもそも何の相性だよ」
「それはもちろん‥‥‥‥遺伝子レベルで相性がいいか、仲が良いかとかですよ」
意味なわからん、というかそんなのどうやってわかるんだよ。
「そんなのわかる方法なんてあるのか?」
「えぇ、昔、相性診断装置を作ったことがあるんです。 一度も使ったことはないんですけど、それを使います」
そんなのも作ってるのか。
しかし、使ったことのないものなのか。
クラスの女の子とか、そういう話題で仲良くなれたりするんじゃないのか?
「そんなのがあるのか」
「一度やってみましょうか? ひーくんとの相性も気になりますからね」
そういって、蕾は準備を始めた。
俺まだやるとは言ってなんだが‥‥まぁいいけどな。
そうして、なんだか特大の、なんか悪の研究所にありそうなものが目の前に。
「なんだこれ。 このカプセルみたいなところにはいればいいのか?」
「はい、そうです。 自動診断モードにしてっと、よしオッケー。 よいしょっと。 ひーくん、自動だと少し時間がかかるので、少し動かないでくださいね」
蕾も、もう片方のカプセルの中に入って診断結果を待っているようだ。
「そういえばこれはどうなったら相性がよくて、条件を満たせるんだ?」
「パーセンテージが出るんですよ。 一応、条件は九十四パーセントです」
高!?
いや、もしかしたら診断が緩いのかもしれないが‥‥。
「高くないか?」
「それが安全を保証できるギリギリのところなんですよ。 私としては百パーセントでもいいくらいです」
そういうものなのか、でも危ないなら仕方ないよな。
「あ、終わったみたいです。 えっと、結果は、っと‥‥‥‥」
ん? 蕾の動きが止まった。
「どうした?」
「九十二パーセント‥‥」
条件は満たせてないな‥‥あと二パーセントは惜しいな。
「でも、九十二パーセントだったら高い方だよな」
そうだよ、逆に高すぎるくらいだ。
こんなに高かったら不満はないだろ?
「‥‥今から下方修正します。 条件達成は九十二パーセントです」
「おい! 数秒前の自分の言葉を思い出せ!」
なに、自分の都合で安全面を捨てようとしてるんだ!