表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/780

13 そうきますか

 キッチンに来てから、30分が経ち、そろそろご飯もほぼ完成というところで、余裕があった私は、リビングにいる二人をコソッと、覗いてみることにした。


「‥‥が‥‥なんだ!」


「‥‥‥‥ですか」


 ん~余り聞こえないなぁ~。

 でも由南ちゃんの顔はこちらからは後ろを向いてて分からないが、兄はとても楽しそうだ。

 これはいい感じなのではないだろうか!


 しかし気になるなぁ~。

 もうちょっと近づいてもバレないかな?

 そう思い私は二人に少し近づいて、聞き耳を立てる。


「本当に奈留は何処か抜けてることがあってね」


「そうなんですか‥‥」


 え?


「兄としては心配でさ」


「はぁ」


 由南ちゃんとの会話でなんで私の話をチョイスしたんだ!

 もうちょっとなんかあっただろう!

 あと、由南ちゃんなんか返事するの疲れてきてるよね?


「兄さん!」


「お、奈留。 晩御飯できたか?」


「うん、出来たよ! ってそうじゃなくて!」


「ん? どうしたんだ奈留?」


 私は兄さんを引っ張り、由南ちゃんから距離を少し取り、小声で喋った。


「‥‥なんで、私の話なんてしてるの! もっと他に話すことなんていくらでもあるでしょ!」


「もしかして恥ずかしがってるのかー? 可愛いやつめ」


「そうじゃないよ! もっとこう‥‥‥‥何でもない!」


 あまり無理矢理過ぎても逆効果になってしまいそうだったので、私は何も言えなくなってしまった。

 やっぱり二人にするだけじゃ発展なんてするわけないよね。

 考えが甘かったかもしれないなぁ。


「ごめんね、由南ちゃん。 兄の相手させちゃって」


「え? 別に楽しかったし謝ることなんてないよ」


 由南ちゃん優しいなぁ。

 あんなつまらない話をしていて、楽しいだなんて、いい子すぎないか!


「奈留、ご飯にしよう。 お腹が空いた」


「でもまだ森田さん帰ってきてないし」


「奈留、ご飯にしよう。 お腹が空いた」


 同じ言葉を繰り返すなんて何処の村人ですか貴方は。

 もっと広葉を大切にしてやれよ、あんなのだけど‥‥。


 丁度その時、玄関の方で音が聞こえた。

 広葉が、帰ってきたようだ。


「陸~、奈留ちゃん~。 俺の飯は~」


「ない!」


「なん‥‥だと‥‥!?」


「いや、ありますから、まだ食べてませんし。 兄さんもふざけてないで、テーブルに持ってくるの手伝ってください」


 本当にコイツらが揃うと騒がしいな。

 まぁこれそこが、私が前世に欲したものなんだろうけどね‥‥。




 ◆◇◆◇◆◇




「今日はありがとう。 何だか久々に楽しかった」


「由南ちゃん、それってつまり私といるときは楽しくないと‥‥?」


「そうね」


 ひどい!


「ちょっと泣いてきていい?」


「冗談よ。 それじゃあまた誘ってね」


「うん。 それじゃあ兄さん。 ちゃんと送っていってあげてくださいね!」


 由南ちゃんをきちんと護衛しなさいと、釘を指しておいたから、大丈夫だとは思うが‥‥。


「あぁ、じゃあ行こっか由南ちゃん」


「はい」


 こういう二人の時間を少しずつ作っていけるように頑張ろう!

 やっぱり恋愛も積み重ねが大事だしね。


 出来れば私の話は出来ればしないでほしいなぁ‥‥するんだろうなぁ。 兄さんだし。


 兄さん達が出ていくと、広葉も帰るようで、靴を履いている最中だった。


「じゃあ俺も帰るよ。 奈留ちゃんまたご飯食べに来るよ」


 これで、いいですよと言ってしまうと毎日来そうな気がする。


「もう来ないでください」


「またまた、そういう照れ隠しも可愛いね♪」


 くたばれ!


「照れてないですから」


「じゃあそういうことにしておこっと。 じゃあね!」


 そう言って広葉は帰っていった。

 そういうこともなにもないと思うが‥‥。


 はぁ~何だか今日はどっと疲れたな。 主に兄と広葉のせいだが‥‥。

 でもまた今日みたいに遊べたらいいな。

 そう思いながら、私はリビングに戻った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ