135 先生から私に‥‥
私を殺そうとした人がどうして、詩唖先生の家に!
「ど、どうしてここに‥‥」
詩唖先生を見ても、何ともないような顔をしていた。
「どうしてって、ここは私の家だし」
「お前の家じゃねーだろ、居候が」
え? ということは、花さんの住まわせてもらってる先輩って詩唖先生のことだったの?
ということは、二人で住んでるのか。
「じゃあ二人の家だね」
「ちげーよ! あ、夕闇、すまない。 こいつは大学の時の後輩でな、住むところがないから居候してるんだ。 いや、その前に‥‥こいつがバカなことして、本当に申し訳なかった!」
「バカなことって‥‥必要だからし「お前は黙ってろ!」はい‥‥」
なんだか、不思議な光景だな。
さっきまで、私を殺そうとしていた人が、学校の担任の先生に怒られているなんて。
「でも、こいつも、本当に殺そうとしていた訳じゃないんだ。 情報を集めるだったらしい」
え? でも包丁で、私のことを殺そうと‥‥。
「まぁ、包丁もおもちゃだったしね」
そういって、花さんは何かを手に持って私に見せてきた。
ヒッ! 包丁!? ‥‥じゃない?
完全にプラスチックだ‥‥‥‥暗くてあんな台詞を言われたから、私が、そう思い込んじゃっただけってこと?
「お前はもう部屋から出とけ。 あと話が終わったら‥‥わかってるだろうな?」
「はい♪」
なんか嬉しそうだな、花さん。
出ていったあと詩唖先生はため息をつきながら、呆れているようだった。
「でも、わからないです。 なんであんなおもちゃを使ってまで、あんなことを‥‥」
「あいつは意味もないことはしないやつだ。 たぶん何か進展がほしかったんだろう。 まぁ、決めかねた、私のせいでもあるんだが」
必要なことって言ってたもんね‥‥でも脅すことになんの意味があるんだろう。
「進展? 決めかねた?」
「いや、こっちの話だ。 それで、もう二度とあんなとこはさせないようにキツく言っておくから、今回は許してやってくれないか?」
なんだか、こんな詩唖先生初めて見た。
「いえ、怖かったですけど、別に怒ってるわけでもないですし、それに本気じゃないってわかったから、私は大丈夫です!」
「いいのか?」
「はい!」
「お前は本当に優しいな」
「そんなことないです!」
「‥‥いや、お前は少し優しすぎるよ。 そこが長所でもあり、短所でもあるが‥‥」
優しいとかはあまり関係ないんじゃないかな?
「たぶん、鈍いだけですよ」
「あはは、そうかもな」
やっと、何時もの詩唖先生に戻ってくれたような気がする。
◇◆◇◆◇◆
少し時間が流れた頃、私は気になることを聞いてみることにした。
「あの人と詩唖先生はどうやって知り合ったんですか?」
「大学の先輩、後輩だな。 私が大学三年の時からずっと一緒にいるからか、結構色々知っている」
じゃあ詩唖先生は大体のことを花さんと共有してるってことでいいのかな。
「詩唖先生はあの人がなんで、あんなことをしたのか知っているんですよね? 教えてもらえませんか?」
「あぁ、それはお前も気になるわな。できれば言いたくはないんだが‥‥今回の場合は私の責任だしな。 わかった」
「いいんですか!」
花さんもそうだが、詩唖先生もなんとなく言葉を濁していたので、そこまで期待はしていなかったんだが。
「じゃあ、まず説明するに当たって、言わなきゃいけないことがいくつかある」
言わなきゃいけないこと?




