125 体験場所
クラスメイトが我先にと先生に自分の希望を言っていたので私も急いで希望を言いに行った。
「私はこの五十六番のカフェでお願いします!」
選んだ理由はこの前行ったから、というのと美味しかったから。
雰囲気も良かったし、働くのも楽しそう。
だけど一人しか募集していないところが痛いところ。
あと女の子限定? 制服が無いからとかそういうのかな?
今の私は、一応女の子だし、大丈夫だよね?
「夕闇はカフェっと。 夕闇、頑張って働くことも大事だが、きちんと休憩も挟めよ」
「え? は、はい!」
だからなんでたまに先生みたいなんだこの人!
今日は特に優しい気がする。
機嫌が良いのかな?
あ、次並んでるんだし早く退かなきゃ。
良かったな、次の男の子よ、今日の詩唖先生は機嫌が良いぞ!
「せんせー、俺は幼稚園で」
「死ね!」
「何で!?」
あれー? いつも通りだ‥‥。
やっぱり、気のせいだったみたいだな。
あ、そうだ、由南ちゃんは何を選んだか聞いてみよっと。
‥‥まぁ、後でいっか。
◇◆◇◆◇◆
帰り道、私は由南ちゃんと蕾ちゃんと一緒に帰っていた。
あまり聞くタイミングもなく、由南ちゃんの職業体験場所もまだ聞けていない。
今聞いちゃおう。
「由南ちゃんは職業体験は何処にしたの?」
「近くにあるレストランよ。 奈留が一人のところを選んでたから、私も特になにも考えず決めたわ」
あー私が二人以上募集のところにしてたら一緒になれたかもしれないのか。
私が考えなさすぎたよ~。
「ごめんね~由南ちゃん~」
「なに謝ってるのよ。 先生が言ったように仲の良いもの同士で行かない方が真面目に出来るのは確かよ。 だから気にしないて良いわよ」
でも、一緒にいたかったなぁ。
由南ちゃんが働いている姿を私は見たい!
あ、蕾ちゃんは何処にしたのかな?
「蕾ちゃんは職業体験何処にしたの?」
「自宅! といいたいところっすが、デパートの中にあるフードコートのファーストフード店が今回の体験先っすね」
蕾ちゃんは自宅で働いてるもんね‥‥。
でも、デパートの中かぁ‥‥ん?
そういえば、前世の広葉が働いていた場所の一つなんじゃなかったっけ、そこ。
さすが蕾ちゃんだ‥‥。
「なんかみんなバイトみたいなところ選んでるね。 でも、蕾ちゃんにしては忙しそうなところを選んだんだね。 もっと楽な場所なのかと思ってたよ」
「詩唖ちゃんに勝手に決められたっす。 なんの恨みがあって、こんなひどいことを‥‥」
あぁ、また詩唖先生ですか‥‥え?
あの人、自分のクラスはギリギリまで決めなかった癖に、なんで他のクラスの蕾ちゃんの体験先決めてるの!
「それっていつぐらいのこと?」
「え、二週間前っすよ?」
おい! 選ぶ期間そんなにあったんじゃねーか!
まぁ、今から言っても仕方がないもんね。
諦めて、職業体験、頑張ろっと。