120 心配する親友
「じゃあね、奈留ちゃん♪」
今日も教室に蕾ちゃんが遊びに来たのだが、あの出来事があってから、余計に仲良く‥‥というか、なつかれていた。
何かもうこれじゃあ、お姉さんと言うかお母さんみたいだよ。
一応、誕生日は蕾ちゃんの方が早いと思うんだけど‥‥私三月だし‥‥。
まぁいいんだけどね。
「何だか、前より仲良くなってるわね」
あ、由南ちゃん。
「まぁ色々あってね」
特に話す必要はないかと思い、由南ちゃんには物忘れ防止装置のことについては話していない。
言ったら蕾ちゃん攻めちゃいそうだし。
それに、泣いていたこととか恥ずかしいかもだし。
いや、蕾ちゃんは思わなそうだな‥‥。
「あんたたち二人は距離が縮まったみたいだけど‥‥なんで磨北くんとは距離が遠退いてるのよ!」
「それは‥‥あはは」
あのあと、信くんに言おうとしていたことを思い出した私は、特にそのあと信くんに聞く機会を逃して、何だか心中モヤモヤしていた。
「なに笑って誤魔化してるのよ」
何だか転生者じゃないかって疑えば疑うほど、何か裏があるんじゃないかと勘繰ってしまい、うまく話せないという状況になり、話しかけずらくなってしまった。
まぁ、はじめの頃よりは全然話しているけど。
それに少し離れてみることによって見えてくることもあるかもしれないしね。
「いや、一緒にいることが多いから、時々は距離をあけてみることも大事だよ」
「夫婦かあなたたちは!」
「友達だよ?」
「いや、わかってるから。 ‥‥でも、そんな態度とってたらまた前みたいな関係になっちゃうわよ? ちゃんと仲良くしなさいよ」
「なんか、お母さんのお母さんみたいだね」
ということは、由南ちゃんは、おばあちゃんって言ったら、殺されちゃうかな‥‥私。
「何言ってんのよあんた。 それより返事は?」
「‥‥うん、わかった。 私、信くん好きだしね」
今世の信くんがいい人だから仲良くなれたんだし。
知りたいって気持ちはあるけど、今生きてる今世の方が私にとってはずっと大事だ。
そう思うと何で悩んでいたのか疑問になるぐらいだ。
「好きって、奈留それ絶対、誤解される言い方だからね」
「え? 本当に好きだよ!?」
「友達として?」
「うん、友達として」
「はぁ~」
何その大きなため息!?
「何か私ダメなこといってる!?」
「何時ものことだからいいわよ、もう。 それと、奈留。 もし、磨北くんに真剣な話をするなら、もっとちゃんとした空気の時に話しなさいよ」
「あぁ、そういえば、あまり聞くような空気じゃないときに聞いていたな‥‥って私、磨北くんに真剣な話をしたいなんて由南ちゃんに言ったっけ?」
「見てればわかるわよ。 とにかく、奈留はやればできるんだから頑張りなさいよ」
うん、ありがとう、由南ちゃん!
もう一度、ちゃんと聞いてみることにするよ。




