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117 同じ言葉

「でも納得はできないよね!」


 先程からしんくんと死と夢の楽園について話している。

 しかし、やっばり人それぞれ考えることは違うようで、両者の意見が大きく違っていた。

 こうやって話したり出来るのも本のいいところだよね。


「そうかなぁ?」


「二人とも、死んじゃったし、救いも何もないように思えちゃうよ」


 でも、話したりするのは楽しいのだが、両者とも譲れない部分があって、中々先に進まないっていうのもあるが。


 あの本の内容的に、さすがに一人は生きてほしかったよ?

 あとは二人ともとか。


「でも、やっぱり残された方は悲しいし、それなら一緒に死ねたらって考えちゃうんじゃないかな?」


 何だろう、すごく納得しちゃいそうになっちゃった。

 いやでもお兄さんも妹さんが死ぬことを望んでなかったはずだよ、きっと。


「妹はそう思うかもしれないけど、兄の視点から考えるとやっぱり悲しいかな」


「それは‥‥そうかもね」


 何だか、感情的になってしまった。

 少し反省しないとね。


「あ、それはそうと結局あの本の楽園ってどういうことだったの?」


「そういえば書かれてないよね。 まぁそこまで深い意味はないのかもね。 あの怪しげな人にとっての楽園なのか、兄弟にとっての楽園なのか。 そこもわかってないからね」


 そういえばそうだね、君にとって楽園とは一言も言ってないし。


「なんだか、騙したみたいでズルいね」


「想像での話だよ。 もしくは兄妹が再会できた場所、二人で永遠に過ごせる場所ということをポジティブにとって楽園にした可能性だってあるしね」


 それはさすがに‥‥。


「ポジティブにとりすぎなような気がするけどね。 でもそういう意味だったらいいなぁ」


「そうだね」


 そう思うと少しいい話に思えてくるから不思議だなぁ。

 やっぱりしんくんと話して良かった。


「そういえば、しんくんはこの本のどこを好きになったの?」


「あれ、前に言ったことなかったっけ?」


 あのときは確か、祈実きさねさんが来て、聞けなかったんじゃなかったかな。


「たぶん聞いてないと思う」


「そっか、僕の好きなところは、”大切な人にもう一度出会うことが出来る”ってところなんだ。 少しおかしいかもしれないけどね」


「あはは、全然おかしく‥‥ない‥‥、え?」


 いや、待って。

 どこかで聞かなかったか、その言葉。


 ‥‥あ、祈実きさねさんと言っていることが同じ!


 え? これは偶然?

 姉弟だから言っていることが同じってこともあるかもしれないが、前世の姉と今世の弟はさすがに離れすぎだろ、色々と。


 前世でしんくんがいないので、しんくんは変わったかどうか分からず、なんとなくしんくんは違うかなぁ、と思っていたけど。


 まだ、偶然の可能性は高いし、決めつけるのはよくないかもしれないが、しんくんが転生者!?


 尚且つ、もうひとつ、本のことを知ってる。

 もしかして‥‥‥‥。








 ‥‥前世で祈実きさねさんと本の話をしたのことがある人?

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