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116 状況はまだ‥‥

前半は磨北信くん視点です。

 どうも、磨北まきたしんです。

 転生して、早十四年目。 新しい中学生活にも慣れ始め、特に何の問題もなく時が過ぎようとしていたはずなのですが‥‥。


「ねぇねぇ、しんくん! 転生ってあると思う?」


 今日、何故か、何の前触れもなく、大きな問題に直面していました。

 まさか今日初めて会って、第一声がそれですか!

 奈留なるさんの質問が私にたいしてピンポイント過ぎる!


 え? もしかして奈留なるさん、私のこと気づいてる?

 いやいや、ただの偶然の可能性も‥‥。


「ど、どうしてそんな質問を?」


「ただ気になっただけだよ。 それでどうなの?」


 えぇーこれ言っていいの?

 私がそうだって言っていいのこれ?


 言ったら死んじゃうとかそういうのじゃないよね!

 もう言っちゃうよ?


「あ、あるんじゃないかなぁ?」


 濁してしまった‥‥。


「そうだよね! じゃあさ、回りの人でそういう人ってみたことある?」


 ‥‥え、回りの人?

 回りじゃなくて、私がそうなんだけど。

 でもこの聞き方ってことは、私のことじゃないのか。

 気づかれてはいないみたい。


 まぁこういうのって、あまり人に話さない方がいいって、よく聞くし、バレなくて良かったのかな?


「み、見たことはないかな」


 私以外には‥‥。

 でもそれっぽい人はいたよね、あの電話の人。

 たぶんあの人も私と同じで‥‥いや確証はないから何とも言えない。

 それに姿を見たわけじゃないからね。


「そっか~。 じゃあそれっぽい人っていた? 例えば祈実きさねさんとか」


 え、きさねぇ?

 いや、特に何か変わっているわけでもないしな。

 そもそも、そんな秘密があったら私に言ってそう。

 ほとんど弟に隠し事できないしね、あの人。


「それはないよ」


「そこだけはっきりと‥‥やっぱり私の勘違いなのかなぁ。 ありがとねしんくん」


「え、うん‥‥」


 結局、何だったんだ、一体‥‥。




 ◇◆◇◆◇◆




 う~ん、やっぱり思い違いだった?

 それとも隠すのが本当にうまいとかかな。

 まぁ、バレたくないって可能性だってあるもんね。


「はぁ、結局なにも手がかりなしか」


 まぁ少しずつ探していこうかな。

 急いだって仕方ないしね。


 あ、そうだ、死と夢の楽園の読んだ感想なんかをしんくんと話そうと思ってたんだった。


しんくん~」


奈留なるさん。 今度はどうしたの?」


 何度も呼んじゃって迷惑だと思うんだけど、しんくんは嫌な顔せずに、笑顔で接してくれる。

 本当にいい人だなぁ。


「この前、図書館でなかった死と夢の楽園が、学校の図書室に入ったから読んだんだ。 色々とあったけど、面白かったよ」


「あ、ようやく読めたんだね。 何処が面白かった?」


 こうして、しんくんと死と夢の楽園について話をすることになった。

 この前は言われてもさっぱりだったけど、今なら何処がどうだとか、わかるし、ちょっと自分がわからない部分もしんくんに聞いてみようかな。

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