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114 忘れていた記憶

 本を読んだ後、特に何かあるわけでもなく、夜になり、いつものように眠る。

 でもまさか‥‥‥‥二日連続同じ夢を見るなんてね。


 また昔のことが再生されている。

 図書室に前世の私と前世の祈実きさねさん。

 前と同じく、私は干渉できないようだ。


 この夢に何か特別なものがあるのだろうか。

 いや、もしかしたらこの昔の話に違和感の秘密が隠されているのかも。

 でも昨日は途中で起きちゃったから、最後まで見ることは出来なかったんだよね。


 今日は見れるよう頑張ろう。

 絶対起きないぞー!

 ‥‥なんか張り切ると起きちゃいそうな気がする。

 平常心でいよう。


『ねぇ、夕闇ゆうやみくん。 今日も本の話をしましょうよ。 何がいいですか?』


 昨日と同じところからか。

 この辺はまぁ聞いたし、そこまで真剣に聞かなくても大丈夫かな?


 少しして、ようやく私が聞いていないところまで話が進んだ。


『死と夢の楽園って言うんですけど、その内容っていうのを端的にいうと───』


 この辺は大体の、本の内容を話していた。

 相変わらず、前世の私は聞き流しているように見えるが‥‥。

 いや、今は一応聞いてはいるみたい。


『───って感じなんすよ。 何だか羨ましいですよね』


 ん? 羨ましい?

 あの話の内容の何処に羨ましがるところがあったのか。


『羨ましいってどういうこと?』


 お、ナイス前世の私!

 いい質問をしてくれた。


『だって、普通は死んじゃった人はもう会えないのに、この物語は大切な人にもう一度出会うことが出来るチャンスがまだあるんですよ? そう考えたら何だか、羨ましく思えてきませんか? 後はこの二人の関係も少し良いなって』


 そんな見方もあるんだね。

 私は何だか悲しいって印象しか湧かなかったんだけど。


『何だか珍しい見方をしてるんだね』


『そうなのかな?』


 おかしいってことはないけど、普通はあまり考えないよね。

 普通は死んで、悲しいって思う人が多いと思うし。

 そりゃ大切な人が実際に亡くなったらそう思うかもしれないけどさ。

 私の周りで亡くなった人はいないからわからないしね。


 でも、あの二人の関係は良いよね。

 兄のために頑張る妹、あんな風になりたいものだ。


『でも、色んな考えてがあっていいと思うよ。 別に正解はないだろうし』


 うわ、前世の私が、真面目なこといってる。

 なんか恥ずかしい‥‥。


『そ、そうですかね‥‥えへへ』


 何だか、祈実きさねさん、顔赤い‥‥もしかして変なこと言ったから、そのせいで恥ずかしく思えたみたいな感じですか!?


『そういえば、二人の関係が羨ましいっていってたけど、磨北まきたさんは兄弟とかっているの?』


 へぇ、この時結構色んなこと聞いているんですね。

 覚えてないけど。


 そりゃ今は弟がいるって知ってますけど、前世は知らなかったからなぁ。

 あ、前世のしんくんって一体どんな人だったんだろ。

 きっと変わらず、優しい人なんだろうなぁ。

 この話の流れ的に話してくれそうだよね。



『え‥‥いえ、兄弟はいませんよ』


 ‥‥え?

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