108 自由って何だろう
学校のお昼休み、信くんも由南ちゃんもそれぞれ違う用事があるということで、いつもは一緒に食べることは少ない蕾さんと食べることになった。
やっぱり、クラスが離れていると中々難しいよね。
そして現在の私達の話はというと。
「───ということで、久々に発明した、その、物忘れ防止装置をつかえば物忘れがしなくなるということなのだよ、奈留くん」
「なんか、どんどん現実から離れていってるね、蕾さん」
発明品の個人発表会を行っていた。
何で一人だけ未来の世界を生きてるの、この人!
「まぁ端的にいうと、ただ、記憶の自動バックアップをとるだけの装置なんっすけどね」
いや、簡単に言ってるけど、普通無理だから!
あと、こういう普通の場所で話すようなことでもないから!
「もうそれだけでも意味不明っていうか、非現実っていうか‥‥」
「何言ってるんっすか。 何処でも行ける扉とか、体をあの一点のみで支えて飛ぶプロペラとかあっちの方が意味不明っすよ!」
いや、それ現実に存在してないから。
「あれはもう、おとぎ話みたいなものだし」
「それもそうっすね。 でもいつか作ってみたいと思うのは何故っすかね」
それはあなたが天才さんで、なおかつ好奇心旺盛だからだよ。
「あはは‥‥でも、さっきの装置とか、この前の装置とか私とか他数人ぐらいにしか教えてないんだよね、どうして?」
「奈留ちゃんはわかってないっすね‥‥能ある鷹は爪を隠すって言うじゃないっすか!」
決まった! と言いたげな表情を浮かべている蕾さんなのだが、ひとつ言わせてほしい。
隠しきれてないんですけど!?
「あーそーなんだー」
「何故棒読み!? ま、まぁ実際には私はあまり騒がれたくはないんっすよ。 自由に行動できないのは色々と面倒っすから」
「あぁ、それで」
お金にも困ってないみたいだし、特に発表する必要はないもんね。
自由も減りそうだし。
「自由が一番っすよ」
「そうだね」
「ということで今日はのんびり「おい、蔭道」あれ、詩唖ちゃん?」
詩唖先生だ‥‥どうかしたのかな?
しかも、担任をしていない蕾さんの方だし。
「蔭道、この前、お前掃除やりますって言っときながら、またサボりやがったらしいな」
あぁ、そういうことですか。
「サボったとは心外っす! 世紀の大発明のために掃除が犠牲になっただけっすよ!」
いや、だからそれをサボったって言うんだよ?
「それに関しては怒るつもりはない。 まぁだから、今からやれ」
「えー!?」
うわ、昼休み削ってやるってことですか。
大変そうだなぁ。
あれ? でもそれなら普通に蕾さんの担任の先生が言いに来ればいいのに。
「でも、そのことを何故、詩唖先生が?」
「あぁ、何故か、他のゴミ‥‥いや、他の先生は、こいつのことになると私に押し付けてくるからな。 蔭道、これ以上私の仕事を増やすな」
いや、あなたそもそも、仕事してない‥‥。
今はしてると言えるのかな?
「詩唖ちゃんの仕事が増えるなら、私喜んで掃除やらないっす!」
いいぞ、蕾さん、もっとやれ!
でも、掃除はしてください!
「私の暴力という名の教育の仕事が‥‥な?」
「すぐ、掃除させていただくっす!」
先生、それ教育じゃなくて、脅しだから!
こうして、蕾さんは昼食が途中だったにもかかわらず、連行されていくのだった。
‥‥発表しなくても、自由減っちゃったね。




