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106 あなたは‥‥

 二人に気づかれてから、少し経ったが、未だケーキ屋から離れることができていない。

 とても楽しいが、二人の時間を邪魔しているのではないかという考えが頭に浮かぶのである。


 どうするべきかなぁ‥‥。


「御姉様?」


「え、何? 小乃羽このはちゃん」


「いえ、なんだか、ぼんやりしていたようでしたから」


 考えすぎて、ぼーっとしていたようだ。


「なんでもないよ。 それで何の話してたっけ?」


「この前の休日に、皆さんでお泊まりをしたんですよねって、話だったんですけど‥‥」


 いつの間にそんな話に‥‥。


「そうだった、面白かったよね、兄さん」


「まぁ、大変だったがな。 特に広葉こうよう祈実きさねは」


 兄さんにとっては大変だったかもしれないけど‥‥。


祈実きさね‥‥」


「あぁ、福林ふくばやしさんは会ったことないか。 磨北まきた祈実きさねっていって、クラスメイトでな。 奈留なると仲がいいんだ」


 兄さんとも仲いいじゃないですか。

 まぁ兄さんは認めてないかもしれないが。


 それより、そういえば、小乃羽このはちゃん、祈実きさねさんとまだ会ったことないんだね。

 祈実きさねさん前に会いたがってたから、会っているようなイメージがあったが。


「御姉様と?」


 まぁ、普通は疑問に思うよね。

 兄さんとクラスメイトなのに、そっち通り越して私だもんね。


「うん、その弟のしんくんと仲がいいからその流れで仲良くなったんだ」


 実際には前世で知ってたから仲良くなったんだけど。


「まぁ、その弟も合わせて六人で過ごしたんだよ」


「その皆さんでお泊まりだと楽しそうですね」


「うん、そうなんだ。 どんなことがあったかっていうと───」


 結局、そのあとお泊まりで何があったか色々話した後、その場から離れることに成功した。

 帰ります、だけで立ち去ったので、驚かれたかもしれないが、たぶんこれで良かった‥‥はず。




 ◇◆◇◆◇◆




 二人の空間から何とか脱出できた私は、薄暗くなっていた帰り道を歩いていた。

 こういう道って危ないとかってよくいうよね。

 まぁいつも通っている道なので特に気にしたことはないが。


 そういえば、前にもこういう状況のときあったな。

 その時はここで知らない女の人に道を聞かれたっけ?


「ねぇ」


 そうそうこんな風にって‥‥何!?


 声をかけられた方を向くと、この前の道を訪ねてきた美人の女の人が。


 これがデジャヴ!?

 いや、デジャヴは体験したことないことをしたことあるって錯覚するやつだっけ?


 いやいや、そんなことより!


「ど、どうしました? また道に迷いました?」


「やっぱりあのときの子だよね。 この前はありがとう。 助かった。 あ、それと今回は道に迷った訳じゃないから。 声をかけたのは、あなたにお礼を言おうと思ってね」


「あはは、それはそれは‥‥」


 こんな、オーラのある人からお礼を言われると、なんだか恐縮しちゃうけど、嬉しいな。


「偶然会えたから驚いた。 私、あまり外に出ることって少ないから」


「私も驚きました」


 まさか二度も同じ場所で同じ人に出会うとは‥‥。

 まぁ、その驚きの中には、もちろん知らない人にいきなり声をかけられたっていう驚きもあるけれど。


「今は時間がないから、もう行くけど、また機会があればお話ししましょう。 夕闇ゆうやみさん」


「は、はい‥‥」


 そういって、彼女は歩いていってしまった。

 そういえば、名前とか聞いてないからわからないな‥‥あれ? 私、名前名乗ったっけ?

 ‥‥まぁ、言ったのかもね。


 私は、特に気にすることなく、家に帰った。

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