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104 先生とほこり

「授業めんどいから自習! 以上!」


 詩唖しあ先生のこの適当さに、クラスの皆が慣れ始めている今日この頃。

 まぁ、期末テストも終わったので、これでいいんだろうけど。

 でも他の先生は一応ちゃんと、授業やってるんだよ?


「あ、あと夕闇ゆうやみ磨北まきた、雑用させてやるからついてこい」


 させてやるって全然嬉しくないんですけど。

 あとそういうのって、もうちょっと言葉濁しながら言うものでしょ!

 もうはっきり雑用って言っちゃってるからね!


 はぁ、しかも何で私としんくん?

 もっと他にいたと思うけど‥‥あ、由南ゆなちゃん、笑うのこらえてる!

 親友の不幸を笑うなー!


 こうして私たちは渋々先生についていくことになった。




 ◇◆◇◆◇◆




「お前達はここの資料室とは名ばかりな物置部屋を整理してもらいたい」


 入った部屋は古い本や、資料が散らばっており、掃除されていないのか、埃が充満している。

 罰ゲームか何かかな?


「先生、何で僕たち二人なんでしょうか?」


 そうだそうだ! なにもしてないのに横暴だ!


「そんなのわかりきっていることだろう! 私より仕事が出来るからだ!」


 おい! それは駄目だろ!

 先生としての誇りはないのか‥‥あるわけないか。

 認めてくれているのは嬉しいが、何それで許されようとしてるんだよ。


「あとはなんでもホイホイと、いうことを聞いちゃう、おバカさ‥‥‥‥では頼んだ!」


 そういうと詩唖しあ先生は勢いよく教室から出ていった。

 最後とんでもないこと言いやがったな!

 はぁ、でも片付けないわけにはいかないし。


「片付ける?」


「まぁそうだね。 早く終わらせちゃおうか」


 うん、詩唖しあ先生の言葉もあながち間違ってないかもしれないなぁ。




 ◇◆◇◆◇◆




 まずは埃をとっていき、そのあと片付けに入った。

 資料もそうだが、古そうな本が沢山あった。

 読まれないと思って、図書室から移動させたのかな?


「でも思ったより早く終わりそうだね」


「そうだね。 これならもう少しゆっくりしても大丈夫かな」


 先程までは、余裕がなく動いていたが、時間があることがわかったので、少しゆっくり作業することになった。

 そのことで、回りに少し目が行くようになり、私はとある一冊の古い本を手に取った。


「あ、昔読んだことある本‥‥」


 その本は前世で読んだことのある本だった。

 何処で読んだかというと、中学の図書室だ。

 つまりは卒業してから一年後ぐらいに、図書室から、ここに運ばれたってことなのかな?

 古いが結構好きだったんだけどなぁ。


「どうかしたの? あ、その本‥‥」


「あれ? しんくんもこの本知ってるの?」


 面白いけど、知っている人はいないと思ってたんだけどなぁ。


「うん、面白いからって、勧められて読んだことがあるんだよ」


 この本を他にも読んでいる人がいるなんて思わなかった。

 きっと趣味が合うんだろうなぁ。


 それにしても、やっぱり私がいいと思った本、しんくんも知ってるんだよなぁ。

 何かの偶然?


 でも好きなものを話せるのはいいことだよね。


「そうなんだ。 じゃあこの片付け終わったら、少しこの本について話さない?」


「うん、いいよ」


 よし、早く終わらせなきゃ!


 すると突然部屋の扉が開き、そこには、隣のクラスの担任のおじいちゃん先生が。


「あれ? 君たち二人?」


 どうしたんだろう?


「そ、そうですけど‥‥」


「大切な資料もあるかもしれないから、夏雪なつゆき先生にお願いしたはずなんですが‥‥」


 仕事押し付けられてたー!!

 先生仕事しろ!


 この後、おじいちゃん先生に怒られている詩唖しあ先生を誰かが見かけたらしい。

 まぁ、自業自得かな。

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