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9 部活

 授業が終わり、放課後になり、部活にいくために由南ちゃんと話していると、遠くの方に何だか急いでいる見知った顔の少年が見えてくる。

 この前手紙をくれた男の子だ。

 私はその男の子に声をかけた。


「お~い、手紙く~ん」


「あ! ゆ、夕闇さん! こんにちは‥‥」


 少し顔を赤くしながら挨拶をしてきた。


田神たがみくん‥‥かな? こんにちは」


「こんにちは、灘実さん」


「あれ? 由南ちゃん、手紙くんのこと知ってるんだ」


「ただ名前を知ってるだけよ。 ていうか奈留、手紙じゃなくて、田神よ」


 あれ? そっか、手紙をくれた男の子で何か名前がにてたから、そう覚えちゃったんだよね。


「え? あ、ごめんね田神くん。 私名前覚えるのニガテで」


「いえ、良いですよ全然!」


 田神くん優しいなぁ。 こういう友達が私は欲しかったんだよ!


「それで、田神くん何でそんなに急いでるの?」


 由南ちゃん私の聞きたいことを聞いてくれてありがとう!


「部活動の新入生の見学、体験があるんですよ。 僕バスケ部なんですけど、先輩から色々と準備しておけって」


 田神くんのところの部活の先輩、人使い荒いんだなぁ。

 いやそれはどこも同じか。


「そういえば今日だったね。 由南ちゃん私たちは何か準備あったっけ?」


「特にないよ。 ボール打たせて終わりにするつもりらしいから」


「めんどくさがりだからね。 うちの部長。 凝ったものにするとは思ってなかったけど、いつも通りの平常運転だね」


 厳しくはないので、楽しくはあるけど、でも部長としてはどうなんだよ。


「じゃあ僕はこれで」


「それじゃあね。 田神くん」


「あ、引き留めちゃってごめんね。 また暇なときに話せたらいいね」


「はい!それじゃあ、また」


 田神くんは走って行ってしまった。


「奈留。 私達も部活行きましょ」


「そうだね。 後輩‥‥楽しみだなぁ」


 前世で部活の後輩なんていなかったから何だか今からワクワクするね!


「そういえば、ラブレターをくれたのがさっきの田神くんなんだよね?」


「そうだけど?」


「やっぱり面白くならなかったね」


「面白さとかいらないから!!」





 ◆◇◆◇◆◇




 女子ソフトテニス部は、新入生の部活動の体験により、ボールを落として新入生が打つという流れ作業を延々と繰り返していた。

 その頃、私はというと‥‥。


「後輩ちゃん、私は、君と共に全国に行く!」


「はい、先輩! 私、先輩のために頑張ります!」


 はじめて出会った後輩と意気投合していた。


「あんたら、短時間で仲良くなりすぎでしょ。 あとちゃんと真剣にやりなさいよ」


「え? あ! 由南ちゃん」


 いつの間にか私たちの後ろに由南ちゃんがいた。

 もうビックリさせないでほしい。 あと真剣にやれって由南ちゃんも言えた義理じゃないよね!


「で、貴方の名前は何て言うのかな?」


「い、一年の福林ふくばやし小乃羽このはって言います!」


「福林さんね。 で、奈留。 教える立場のあんたが何で福林さんとイチャついて、逆に邪魔してるのよ?」


 小乃羽ちゃんに、向けていた笑顔とは一変して、少し睨んだ顔で私の方を向いた。

 怖い!


「い、いや別にイチャついてるわけではないんだけど、小乃羽ちゃんテニス経験者らしくて‥‥」


「だから?」


「だ、だって経験者にボール落ちるからそれ打ってね、とか煽ってるようにしか思えなかったんだよ!」


 だからってコートで打ち合うわけにもいかないし‥‥。

 なので、楽しくお喋りして、出来るだけ楽しく終われるようにしようという考えだよ?


「理由はわかったけど先輩もいるんだから一応は真剣にやりなさいよ」


 忠告したかと思ったら去っていこうとする由南ちゃん。

 怒られる前に言いに来てくれたのかな? 優しい。

 しかしあることを思いだし、戻ろうとする由南ちゃんを私は引き留めた。


「突然なんだけど由南ちゃん、小乃羽ちゃん。 部活後、家に遊びにこない?」


「急に何で?」


「いや、部活中だとゆっくり喋れないから家でゆっくり喋りたいなぁ~って。 最近由南ちゃんと遊ぶことないし、小乃羽ちゃんともっとしゃべりたいし」


「私はいいですよ!」


「まぁそういうことなら私もいいけど‥‥」


 ちょっと無理矢理だったかもしれないが、これでよし。

 計画のため、頑張らなければ‥‥。

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